アカバネウイルスに対する中和抗体を誘導する抗原領域の同定

要約

アカバネウイルス中和モノクローナル抗体によって同定された抗原領域を含む組換え蛋白質をマウスに免疫すると、アカバネウイルス中和抗体が誘導される。

  • キーワード:アカバネ病、中和抗原、中和抗体、サブユニットワクチン
  • 担当:家畜疾病防除・先端的疾病防除技術
  • 代表連絡先:電話 029-838-7708(情報広報課)
  • 研究所名:動物衛生研究所・細菌・寄生虫研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

アカバネウイルスは牛などの反芻動物に対し異常産などを引き起こす。アカバネウイルスのGc糖蛋白質は中和抗原であり、5つの主要なエピトープが存在することが知られているが、その詳細な配列や位置は明らかとなっていない。そこでGc糖蛋白質を様々な断片に分割した組換え蛋白質を作製し、中和抗体が認識する領域の同定を試みる。また、同定した領域をマウスに免疫することにより、中和抗体が誘導されるかを検討する。

成果の内容・特徴

  • 中和抗体が認識する領域を同定するために作製したGc糖蛋白質断片の位置を図1に示す。
  • ドットブロット法により中和モノクローナル抗体が認識した領域は、図1で示したN1およびM12である(図2)。
  • N1、M12、およびNM(N1およびM12を融合)領域の組換え蛋白質をBALB/cマウスに免疫し、アカバネウイルスOBE-1株に対する中和試験を実施した結果、少なくともN1免疫マウス血清で22.5倍、M12免疫マウス血清で22.3倍、NM 免疫マウス血清で22.5倍の中和抗体価を誘導できる。

成果の活用面・留意点

  • 中和抗体を誘導することができる本組換え蛋白質は、サブユニットワクチン候補として期待できる。
  • 本領域をコードする遺伝子をワクチンベクターに導入することにより遺伝子組換え多価ワクチンの開発が期待できる。
  • 本来の宿主である反芻動物において、アカバネウイルスに対する中和抗体の誘導や感染防御が可能かを確認する必要がある。

具体的データ

図1~2

その他

  • 中課題名:先端技術を利用した新しい疾病防除技術の確立
  • 中課題整理番号:170c2
  • 予算区分:委託プロ(動物ワクチン)
  • 研究期間:2012~2013年度
  • 研究担当者:小川洋介、下地善弘、江口正浩、広田次郎、白岩和真
  • 発表論文等:小川ら「アカバネウイルスに対して中和活性を有する抗体を誘導するペプチド」特願2014-032120