豆腐加工適性評価指標としての大豆タンパク質含量および最大破断応力凝固剤濃度

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要約

大豆の種子タンパク質含量は、凝固剤(塩化マグネシウム)濃度を上げた時の豆腐の最大破断応力と高い正の相関を有するが、一般的な凝固剤濃度0.25%で作った豆腐の破断応力との相関は低い。最大破断応力での凝固剤濃度は大豆の種子タンパク質含量とともに、豆腐加工適性評価の目安となる。

  • キーワード:大豆、豆腐、凝固剤濃度、タンパク質含量、破断応力
  • 担当:作物研・畑作物研究部・畑作物品質制御研究室
  • 連絡先:電話029-838-8960、電子メールkyokot@affrc.go.jp
  • 区分:作物・夏畑作物、食品
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

大豆の主要食品加工用途は豆腐であるが、国産大豆は、同一品種でも栽培地や栽培年度で加工適性が変動することが問題となっており、加工適性の安定した大豆が求められている。そのためには、育種・栽培現場でも適用可能な簡易かつ統一的な豆腐加工適性評価法の確立が必要である。豆腐の堅さが種子タンパク質含量とある程度相関することが指摘されているが、例外もあり、両者の整合性には未解明の部分もある。そこで本研究では、種子タンパク質含量と豆腐の堅さとの相関に及ぼす、凝固剤濃度の影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 生絞り充填豆腐の破断応力(堅さ)は、添加する凝固剤(塩化マグネシウム)の濃度を上げると高くなり、ある濃度で最大値(最大破断応力)を示す(図1)。
  • 大豆の種子タンパク質含量は、生絞り豆乳のタンパク質濃度と高い正の相関(n=19, r=0.90)があるが、実需の現場および一般に加工適性評価に使われる凝固剤(塩化マグネシウム)0.25%での豆腐の破断応力と相関が低い(r=0.27)。一方、最大破断応力は種子タンパク質含量と有意な高い正の相関(r=0.88)を有する(図2)。
  • 「最大破断応力での凝固剤濃度」は、一般的に使用される凝固剤濃度0.25%での豆腐の破断応力と負の相関を示し(図3)、種子タンパク質含量のみならず、豆乳の充分な凝固に必要な凝固剤の量も豆腐加工適性の指標となり得ることが示唆される。
  • 豆腐の破断応力や、「最大破断応力での凝固剤濃度」は、品種間で異なる傾向を示す(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 大豆の豆腐加工適性を評価する際には、種子タンパク質含量だけでなく、豆乳の凝固反応性に関与すると考えられる「最大破断応力での凝固剤濃度」も考慮する必要がある。
  • 生絞り法での本結果が加熱絞り法でも同様に適用できるか否かを今後、確認する必要がある。

具体的データ

図1 塩化マグネシウム濃度と豆腐の破断応力との関係

図2 種子タンパク質含量と豆腐の破断応力との関係

 

図3 「最大破断応力での塩化マグネシウム濃度」と0.25%塩化マグネシウム添加時の豆腐の破断応力と の関係

 

表1 6 品種のタンパク質含量、破断応力、「最大破断応力での塩化マグネシウム濃度」

その他

  • 研究課題名:豆腐加工適性評価法の開発
  • 予算区分:21世紀プロ
  • 研究期間:2002年度(2001~2004年度)
  • 研究担当者:戸田恭子、中村善行