縞葉枯病抵抗性で極良食味の中生水稲新品種「さとじまん(関東209号)」

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

さとじまん(関東209号)は、温暖地で中生熟期の水稲粳種であり、縞葉枯病抵抗性を有し晩植で多収かつ食味もコシヒカリ並に良い。

  • キーワード:イネ、縞葉枯病抵抗性、良食味、多収、晩植
  • 担当:作物研・稲研究部・稲育種研究室、多用途稲育種研究室
  • 連絡先:電話029-838-8950、電子メールnics-seika@naro.affrc.go.jp
  • 区分:作物・稲、関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

温暖地においては、コシヒカリ等の早生品種との熟期分散の観点から良食味の中生品種が必要とされており、また麦跡の晩植栽培用として市場性の高い品種が求められている。そのため、栽培特性の優れた中生の良食味品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 水稲「関東209号」は、縞葉枯病抵抗性の「関東175号」と良食味の「越南154号」の交配後代から育成された系統である。
  • 育成地における晩植栽培での出穂期は「月の光」並の中生の中、成熟期は「月の光」よりやや遅い中生の晩である。
  • 稈長は「月の光」よりやや短く「朝の光」並か、わずかに短い“やや短”である。穂長は「月の光」よりやや短く、穂数は「月の光」並で粒着密度は「月の光」並であり、草型は“偏穂重型”である。
  • いもち病真性抵抗性遺伝子型はPia であり、葉いもち圃場抵抗性は“やや強”である。穂いもち抵抗性は、DNAマーカーの遺伝子型からPb1 を持つと推定されるが“やや弱”である。縞葉枯病抵抗性を有し、白葉枯病抵抗性は“やや弱”である。耐倒伏性は「月の光」並の“強”で、穂発芽性は“やや難”である。
  • 収量性は晩植、早植とも「月の光」よりやや高い。
  • 玄米の外観品質は乳白や背白がやや多く「月の光」よりやや劣り“中中”である。
  • 千粒重は「月の光」よりやや重く、やや大粒で粒厚はやや厚い。
  • 炊飯米の食味は、晩植・早植とも「コシヒカリ」並の“上中”であり極良食味である。

成果の活用面・留意点

  • 適地は温暖地・暖地である。ただし登熟が遅いので二毛作限界地帯での麦跡の作付けには適さない。
  • 神奈川県で奨励品種採用予定である(普及予定面積は1,000ha)。
  • 分げつ期の葉色が淡いので、追肥の際多肥にならないよう注意する。
  • 穂いもち抵抗性が不十分なので、発生に注意し適期に防除する。

具体的データ

表1 「関東209号」の特性概要

その他

  • 研究課題名:温暖地向き低アミロースを主体とした新形質米品種の育成
  • 課題ID:08-01-01-01-07-04
  • 予算区分:ブランド・ニッポン5系
  • 研究期間:1994~2004年度
  • 研究担当者:安東郁男、加藤 浩、井辺時雄、根本 博、太田久稔、佐藤宏之、平山正賢、平林秀介、
                      出田 収、竹内善信、青木法明、堀末 登、須藤 充、沼口憲治、高舘正男、平澤秀雄、
                      坂井 真、田村和彦