中生の多収・良質・良食味水稲新品種「あきだわら」

要約

水稲新品種候補系統「あきだわら」は温暖地東部での熟期が中生の晩に属する粳種である。食味は「コシヒカリ」に近い良食味で、「コシヒカリ」よりも収量性が明らかに高く、品質も良い。

  • キーワード:イネ、多収、品質、良食味、中生
  • 担当:作物研・稲マーカー育種研究チーム、低コスト稲育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8950
  • 区分:作物、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

温暖地は良食味で市場評価の高い「コシヒカリ」の作付けが多いが、一方で一定レベルの食味・玄米品質を有する安価な米が求められている。農業経営者の所得を確保しつつこうした消費ニーズに応えるために、低コスト栽培に適する良質・良食味の多収品種の開発を行う。

成果の内容・特徴

  • 「あきだわら」は「アケノホシ」に由来し多収で食味のやや良い関東188号(後のミレニシキ)と良質で良食味の越南176号(後のイクヒカリ)の交雑後代より育成されたうるち種である。
  • 育成地における出穂期は「月の光」と同程度の“中生の中”、成熟期は「日本晴」と同程度で“中生の晩”熟期に属する(表1)
  • 稈長は「日本晴」よりやや短い。穂数は「日本晴」より少なく、草型は“偏穂重型”である(表1)。
  • 玄米重は、「日本晴」に対して早植・標肥で13%、早植・多肥で13%多収である。また標肥の「コシヒカリ」に対して多肥では31%多収である(表1)。
  • 収量構成要素は、「月の光」と比較して一穂籾数が多く、穂数はやや少ないが籾数/m2が多い。千粒重、登熟歩合はやや低い(表2)。
  • 耐倒伏性は「日本晴」並の“やや強”である(表1)。
  • 穂発芽性は、「日本晴」よりやや難の“やや難”である(表1)。
  • いもち病真性抵抗性遺伝子型はPiiと推定される。圃場抵抗性は、葉いもちが“弱”、穂いもちが“やや弱”である。白葉枯病抵抗性は“やや強”である。縞葉枯病には“罹病性”である(表1)。
  • 玄米の外観品質は、「日本晴」並で、「コシヒカリ」よりやや優る“中の上”である。高温登熟性は、「日本晴」並の“中”である(表1)。
  • 炊飯米の食味は、「日本晴」「月の光」より明らかに優り、「コシヒカリ」に近く良食味である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 多収で米の外観品質、食味とも良いため、業務用などの用途が考えられる。
  • 多肥で多収となるが、いもち病に弱く耐倒伏性も十分でないため、極端な多肥は避け、いもち病の防除を行う。
  • 縞葉枯病に罹病性なので、常発地での栽培は避ける。

具体的データ

表1.あきだわらの特性

図1 奨励品種決定基本調査における あきだわらの玄米収量(kg/a)

写真 あきだわらの圃場での草姿 (上)と白米(下)

表2.収量構成要素調査(生検標肥)

その他

  • 研究課題名:直播適性に優れ、実需者ニーズに対応した低コスト業務用水稲品種の育成
  • 課題ID:311-a
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:1998-2008
  • 研究担当者:安東郁男、根本博、加藤浩、太田久稔、平林秀介、竹内善信、石井卓朗、前田英郎、
                       井辺時雄、佐藤宏之、平山正賢、出田収、坂井真、田村和彦、青木法明