ダイズのカドミウム高蓄積遺伝子座のゲノム上の座乗位置

要約

ダイズ品種「Harosoy」由来のカドミウム高蓄積遺伝子に関連するQTLは第9染色体上のSat_119とSatt178の間に座乗する。QTLの近傍に設定した2つのマーカーを用いることにより、「Harosoy」由来のカドミウム高蓄積遺伝子を除外することができる。

  • キーワード:ダイズ、カドミウム、DNAマーカー、QTL解析
  • 担当:作物研・大豆育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8503
  • 区分:作物
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

国内の大豆品種は大きく分けてカドミウム高蓄積品種群と低蓄積品種群に分けられ、高蓄積品種群の一つは「Harosoy」由来の高蓄積遺伝子を持っていると推定されている。そこで「Harosoy」と、低蓄積品種の「フクユタカ」の交雑後代の組み換え型自殖系統(RILs)について、子実中のカドミウム濃度と DNAマーカーによるジェノタイピングを行うことで、カドミウムの蓄積性に関するQTL(量的形質遺伝子座)を同定し、近傍にDNAマーカーを設定することで、育種材料から高カドミウム蓄積特性を効率的に除外することを目的とする。

成果の内容・特徴

  • 「Harosoyフクユタカ」のRILsを用いて子実中カドミウム濃度に関してQTL解析を行うと、第9染色体(分子連鎖群K)に大きな一つのQTLが同定される(図1)。このQTLは3カ年の試験でも位置に大きな変化はない。
  • 子実中カドミウム濃度に関するQTLは第9染色体上のSat_119とSatt178の間に見られ(表1、新たに設定した2つのDNAマーカー、Gm09:4770663とGm09:4790483(表2)のごく近傍に位置する。
  • F2が高:低=1:3に分離し、他に検出されるQTLがないことから「Harosoy」由来の高カドミウム蓄積性は劣性の1遺伝子支配と推定される(データ省略)。
  • このQTLの効果は3カ年の試験で、LOD値26.4~42.9、寄与率56.7~82.4%の大きな効果を持つ(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 「Harosoy」以外の遺伝資源に由来する高カドミウム蓄積遺伝子については今後検討が必要である。
  • Gm09:4770663とGm09:4790483は「Harosoy」由来の高カドミウム蓄積性を除外するための選抜マーカーとして利用できる。
  • Gm09:4770663とGm09:4790483以外のSSRマーカーのプライマーの塩基配列の情報はSoyBase(http://soybeanbreederstoolbox.org/index.php)からの入手が可能である。

具体的データ

図1 第9染色体上に検出された高カドミウム蓄積特性のQTL

表1 カドミウム蓄積関連 QTL と座乗する遺伝子の効果

表2 使用したマーカーとその配列

その他

  • 研究課題名:大豆におけるアレルゲン、カドミウム等の健康リスク低減技術の開発
  • 中課題整理番号:211b
  • 予算区分:基盤、委託プロ(有害化学物質、生産工程)
  • 研究期間:2004~2009年度
  • 研究担当者:羽鹿牧太、Eduardo R. Benitez、高橋浩司(現長野県野菜花き試験場)、山田哲也、山田直弘、大木信彦(現九州・沖縄農研セ)、金丸京平