低温ストレス耐性を示す大豆褐毛系統は葉のフラボノイド・組織抗酸化活性が高い

要約

低温処理により大豆褐毛系統ではケルセチン・イソラムネチン配糖体が、白毛系統ではケンフェロール配糖体が蓄積し、葉の抗酸化活性は褐毛系統のほうが高い。褐毛系統より白毛系統のほうが低温処理により葉が顕著に褐変化する。

  • キーワード:ダイズ、低温ストレス、フラボノイド、抗酸化
  • 担当:作物研・大豆育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8503
  • 区分:作物
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

大豆には毛茸が褐色のものと白色のものとがあるが、褐毛のほうが低温ストレス耐性が高い。毛茸色を支配する遺伝子Tはフラボノイド3’-水酸化酵素(F3’H)をコードし、大豆白毛系統はF3’H活性を持たないことが知られているが、大豆フラボノイドと低温ストレス耐性との関係は明らかでない。低温ストレスは酸化ストレスを引き起こし、植物の低温ストレス耐性には抗酸化活性が関わることが知られている。F3’Hはケルセチン等抗酸化活性の高いフラボノイドの生合成に必須な酵素である。そこで毛茸色に関する準同質遺伝子系統を用いて葉に蓄積するフラボノイドとその抗酸化活性・低温ストレス障害を比較する。

成果の内容・特徴

  • 低温処理(15°C1週間)により、褐毛系統「To7B」ではケルセチンとイソラムネチン(3’-O-メチルケルセチン)の配糖体が、白毛系統「To7G」ではケンフェロール配糖体が蓄積する(表1)。フラボノイド標品のDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去活性は平均してケルセチン、ルテオリン、イソラムネチン、ケンフェロールの順に高い。ルテオリン、イソラムネチンの活性はほぼ拮抗している。
  • 葉のDPPHラジカル消去活性は対照(25°C)、低温処理(15°C1週間)とも褐毛系統のほうが高く、また同じ系統では低温処理個体のほうが高い(図1)。
  • 低温処理(15°C5週間)により白毛系統のほうが褐毛系統より葉の褐変化が顕著に見られる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 本研究は毛茸色に関する準同質遺伝子系統「To7B」、「To7G」の第2本葉を用いた結果である。光条件は300 μmol m-2 s-1(25°C)、もしくは200 μmol m-2 s-1(15°C)、16時間明期である。

具体的データ

表1 対照(25°C)、低温処理(15°C1週間)条件において大豆第2本葉に蓄積するフラボノイド

図1 大豆第2本葉のDPPHラジカル消去活性

図2 低温処理5週間目の大豆第2本葉

その他

  • 研究課題名:豆腐加工適性に優れた高品質機械化適性品種の育成
  • 中課題整理番号:211b
  • 予算区分:実用遺伝子・科研費
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:戸田恭子、高橋良二、岩科司(国立科学博物館筑波実験植物園)、羽鹿牧太