大麦の褐変原因物質プロアントシアニジンとカテキンを激減させる12の突然変異遺伝子のうち、ant27、ant28、ant29の3遺伝子は、加熱調理後に褐変を生じにくい食用大麦の実用品種育成に有用である。
大麦の種皮にはポリフェノール成分の一種であるプロアントシアニジンやカテキンが含まれている。これらの成分は搗精によっても完全には除去されず、加熱調理後の褐変の原因となり、大麦の食用利用を妨げる一因ともなっている。これらの褐変原因物質を欠失する突然変異として、大麦には12のプロアントシアニジンフリー遺伝子が報告されているが、各遺伝子が栽培特性や品質に及ぼす影響や、加熱後低褐変への効果は不明である。そこで、実用品種を遺伝的背景とする準同質遺伝子系統を作出して、これらの遺伝子が栽培特性や品質特性に及ぼす影響を解析し、育種上の有用性を明らかにする。