スラリーを施用したイタリアンライグラスとライコムギ混播サイレージのめん羊による採食性

要約

イタリアンライグラスとライコムギ混播草地への春先のスラリー施用は、硝酸態窒素含量を増加させるが、イタリアンライグラスの割合が増し、めん羊によるサイレージの嗜好性および自由採食量を増加させる。

  • 担当:草地試験場・飼料生産利用部・粗飼料評価研究室
  • 連絡先:0287-37-7805
  • 部会名:草地・飼料利用
  • 専門:動物栄養
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

現在のわが国の畜産の状況はふん尿問題が深刻であり,飼料畑に多量に施用せざるを得ない状況である。ふん尿の多量施用は,家畜に硝酸中毒等の栄養障害を引き起こす事はよく知られているが、飼料品質、特に採食性への影響は明らかではない。従って栄養障害を回避するためにも、ふん尿施用の採食性への影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

イタリアン(ワセユタカ4、サクラワセ1、フタハル1の割合で混合)の播種量1.5kg/10aに対してライコムギ(ライダックス・ライコッコ1:1)を5kg混播した。1994年10月~11月にかけての播種時に化成肥料でN,P2O5、K2Oを3kg/10a全面施用し、翌春3月上旬にスラリー(水分91.4%、窒素0.49%)5、10、15t/10aを75cm間隔で施用した。5月22日に刈取りを行い、晴天下で1日予乾した後にロールベールサイレージに調製し、めん羊に給与した。

  • スラリーを施用することにより、イタリアンライグラスの割合が増加した。またサイレージ品質は、施用量の増加に伴い水分含量が増加したが、良好な予乾条件であったため、すべて良質のものであった(表1)。
  • スラリー施用量が増加するに従って、サイレージ中の粗蛋白質含量の増加と共に、硝酸態窒素含量が増加した。硝酸態窒素含量は、5t区までは安全な値であった。しかし10t区では、制限給餌が必要となる値となり、15t区では、許容濃度といわれる0.2%を越えた(表2)。
  • スラリー施用の飼料成分への影響は、総繊維含量の変化は引き起こさないが、繊維中の高消化性区分を増加させる傾向があった(表2)。
  • 嗜好性試験の結果、スラリーを施用した区は、施用しなかった区よりも選択採食される割合が高い傾向があった。しかし施用区の間では差が見られなかった(図1)。
  • 単一給与下で自由採食させた結果、自由採食量は施用量が増加するに従って増加し、15t区は他の区より有意に増加した(図2)。ただし15t区は急性中毒を回避するための馴致(次第に増給する)が必要であった。

成果の活用面・留意点

  • スラリー施用と牧草品質との関係解明のための基礎資料となる。
  • 慢性中毒やミネラルバランス等の長期的影響は考慮していない。また他の草種、圃場条件および牛の採食性を検討する必要がある。

具体的データ

表1.乾物収量およびサイレージの発酵品質

 

表2.サイレージの化学成分

 

図1.一対比較法による選択採食性

 

図2.代謝体重当たりの乾物自由採食量

 

その他

  • 研究課題名:牧草類の自由採食量推定法の開発と育種への適用
  • 予算区分:経常研究
  • 研究期間:平成7年度(平成6年~10年)