冬期放牧用給水タンク・飲水器の断熱

要約

特別な熱源を用いなくても、給水タンクは全面を十分に断熱することによって、飲水器は夜間温水で満たし断熱されたふたで覆うことで凍結を防止できる。断熱材の厚さはそれぞれの初期水量、初期水温、外気温、必要な凍結防止期間などから計算可能である。

  • キーワード:給水施設、凍結防止、断熱、放牧施設、ウシ
  • 担当:畜産草地研・山地畜産研究部・上席研究官、山地畜産研究チーム
  • 連絡先:電話0267-32-0763、電子メールsatoy@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

寒冷地で放牧を行う場合、晩秋あるいは冬期の飲水の凍結がしばしば問題となる。放牧期間を延長する場合、あるいは周年放牧を行う場合には、飲水の凍結を防止することが不可欠である。
電源の確保できない放牧地で、特別なエネルギー源を使用せずに、十分な断熱をすることによって簡易に飲水の凍結を防止する技術を開発し、その断熱設計を示した。

成果の内容・特徴

  • 容量が数百L以上の給水タンクは初期水温が10℃未満であっても、全面に十分な断熱を行えば水を熱源として一定期間凍結を防止することが可能である。水槽内水温の変化は伝熱工学に基づく計算結果とよく一致する(図1、図2)。
  • 給水タンクに必要な断熱材の厚さは、初期水量、初期水温、1日あたりの減水量、外気温、必要な凍結防止期間(次の給水までの 期間)などから計算可能である。容量500Lのタンクで、1日あたりの減水量を50L、凍結防止期間を7日間とし、初期水温と外気温を変化させたときの必 要な断熱材の厚さを表1に示した。
  • 容量が2L程度のウォーターカップは夜間温水で満たし断熱されたふたで覆う(図1)ことで翌日まで凍結を防止できる。熱湯に近いお湯を入れると冷却されたカップと熱交換して結果的に30~50℃の温水となる。
  • ウォーターカップに必要な断熱材の厚さは、温水量、初期水温、外気温、必要な凍結防止時間などから計算可能である。容量2Lのウォーターカップを、16時間凍結防止するために必要な断熱材の厚さを、初期水温と外気温を変化させて表2に示した。

成果の活用面・留意点

  • 凍結の危険のある場面で、畜種を問わず給水施設に活用できる。
  • 放熱面積は断熱材の内法寸法から算出する。
  • 周年利用する場合は、給水タンクの設計外気温には旬別平均気温の年最小値を用いる。日平均気温の年最小値を用いればさらに安全であるが、過剰設計となる可能性が大きい。ウォーターカップの設計外気温には年最低気温を用いる。
  • 断熱のための工作はなるべく気密性が保たれるように行う。断熱材は吸水性のないものを使用し、紫外線と家畜から断熱材が保護されるよう金属板や合板で覆う。
  • 表1に示した数値は、容量1000Lのタンクで、1日の減水量100L、凍結防止期間を7日間とした場合にも、放熱面積が12m2以内であれば適用できる。

具体的データ

図1 給水タンク・飲水器の断熱模式図 図2 水槽内水温の計算値・実測値および外気温 表1  凍結防止期間1週間を想定した容量500Lの貯水タンクに必要となる断熱材厚さ 表2  16時間保温を想定した容量2Lのウォーターカップに必要となる断熱材厚さ

 

その他

  • 研究課題名:転作田、耕作放棄地等の小区画放牧における施設およびシステムの改良
  • 課題ID:12-07-04-01-05-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:佐藤義和・手島茂樹・進藤和政