放牧哺乳子牛の補助飼料としての粉砕トウモロコシの評価

要約

黒毛和種哺乳子牛にローラーミル粉砕トウモロコシを50%含む別飼飼料を給与すると蒸煮圧ぺんトウモロコシ給与に比べ放牧草乾物摂取量が3~19週齢の平 均で20%増加する。粉砕トウモロコシの給与適期は放牧草からの養分摂取割合が増加する11週齢以降である。

  • キーワード:家畜栄養、肉用牛、粉砕トウモロコシ、黒毛和種、哺乳子牛、放牧草
  • 担当:畜産草地研・山地畜産研究部・家畜飼養研究室
  • 連絡先:電話0297-32-2356、電子メールyorero@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

中山間地で傾斜地を放牧利用し肉用牛子牛生産を行う場合、消化性の高い寒地型牧草でも哺乳子牛への別飼飼料による栄養補給が必要である。一方、デンプン質 飼料や油脂等の多給は放牧草摂取を低下させる恐れがあり、放牧効果の一つである第一胃機能の十分な発達に関して望ましくないことがある。そこで、第一胃分 解性が比較的低いローラーミル粉砕トウモロコシを放牧草利用性の点から放牧哺乳子牛の補助飼料として評価する。

成果の内容・特徴

  • ローラーミル粉砕トウモロコシ(GC、嵩密度0.56kg/l、メッシュサイズ2.38~3.26mm)の成分は蒸煮圧ぺん トウモロコシ(FC、嵩密度0.38kg/l)と差がないが、アミラーゼによる16時間乾物分解率はFCが71.1%に対しGCでは40.5%にとどま る。
  • 群飼している黒毛和種人工哺乳子牛(雄4頭/群)に別飼飼料を6週齢から体重の1%給与すると、放牧草(ケンタッキーブルー グラス主体草地から刈り取り給与)の体重当たり乾物摂取量は10週齢を境に急増する(図1)。その際、GCを別飼い飼料*に50%配合給与する(GC区) と、FCを給与する場合(FC区)に比べ11~19週齢の平均で12%、3~19週齢の平均で20%放牧草摂取量が増加する。
    *別飼飼料にはGC、FC以外に大豆粕22%、フスマ12%、トウモロコシ10% を配合
  • 第一胃液のVFA組成ではGC区がFC区に比べ酢酸の割合が高くなり、プロトゾア数ではGC区で大型のIsotrichidae科の比率が高まる(表1)など放牧草摂取量の増加による影響が認められる。
  • 有機物(OM)および中性デタージェント繊維(NDF)消化率はGC区とFC区に差がない(表2)。GC区では摂取窒素の尿中排泄割合がやや高く、蓄積割合が低くなる。
  • 11~19週齢では、放牧草からの養分摂取割合の増加により放牧草摂取量の違いが発育に反映され、日増体量(DG)はGC区がFC区に比べ高い傾向を示す(図2)。従って、子牛の発育を考慮するとGCの給与適期は11週齢以降と判断される。

成果の活用面・留意点

  • 暖地型牧草では消化性が低いため放牧草摂取があまり増加しない可能性がある。従って寒地型牧草の放牧利用が適用対象である。
  • 粉砕トウモロコシの腸管消化率向上により利用性が改善されればさらに適用時期が広がる可能性がある。
  • 一般的にGC給与時には微生物タンパク質合成量が低下しやすいこと、放牧草からのDIPの摂取比率が高まることから、摂取窒素の利用性が低下する可能性があるので、第一胃非分解性タンパク質の補給に留意する。

具体的データ

図1 体重あたり放牧草乾物摂取量 図2 期間日増体量 表1.胃液性状(11,16,20週齢の平均値 表2.消化率および窒素出納

 

その他

  • 研究課題名:補助飼料の第一胃分解特性が放牧哺乳子牛の飼料利用,第一胃機能に及ぼす影響
  • 課題ID:12-07-02-*-09-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:林義朗、山口学、池田哲也