稲発酵粗飼料と牛糞に含まれるデンプンの酵素分析による簡易定量

要約

稲発酵粗飼料と牛糞に含まれるデンプンは,飼料や糞の化学成分の分析に一般的に用いられている酵素分析により、精度よく簡易に定量できる。

  • キーワード:デンプン、酵素分析、稲発酵粗飼料、飼料イネ、ウシ、牛糞
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・乳牛飼養研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7806、電子メールmhiroki@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

現在、牛用飼料として稲発酵粗飼料の利用が拡大している。稲の子実はデンプンを多く含んでおり、牛にとって有益なエネルギー源となる。したがって、稲発 酵粗飼料の飼料特性を把握するためには、デンプンの利用効率を測定することが重要である。従来から行われているデンプンの定量法は、煩雑な操作と多くの時 間を要する。阿部と岩崎(1984)は、酵素分析を利用したデンプンの簡易定量法を提案し、数種類の飼料においては有効であることを示している。そこで、 未だ検討されていない稲発酵粗飼料と牛糞に含まれるデンプンについて、酵素分析を利用した簡易定量法の適用性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • デンプンの簡易定量法では,α-アミラーゼ(東京化成工業 東京),アクチナーゼ(アクチナーゼE 科研製薬 東京)酵素処理により定量した細胞内容物含量とアクチナーゼ酵素処理のみにより定量したアクチナーゼ可溶有機物含量との差をデンプン含量とする(図1)。
  • 簡易法で求めた稲発酵粗飼料と牛糞のデンプン含量を従来法である過塩素酸抽出・グルコースオキシダーゼ比色法と比較すると、稲発酵粗飼料では両定量法のデンプン含量に差がない(表1)。
  • 従来法で定量したデンプン含量を(Y),簡易法で定量したデンプン含量を(X)としたとき、稲発酵粗飼料においては有意な直線回帰式 (Y=0.34+0.97X)が得られる(図2)。一方、牛糞においても有意な直線回帰式(Y=-0.55+1.49X)が得られる(図2)。
  • 上記の回帰式を用いることで、酵素分析を利用した簡易法で稲発酵粗飼料と牛糞のデンプン含量は精度よく定量することが可能である。

成果の活用面・留意点

  • この簡易法は、稲発酵粗飼料や牛糞の酵素分析による化学成分(細胞内容物、細胞壁物質など)の分析に組み入れることが可能である。
  • この簡易法で使用する酵素、試薬および分析操作は、従来の酵素分析に準ずる。
  • この簡易法によって稲発酵粗飼料と牛糞のデンプンを定量する場合、それぞれ別の回帰式を用いる必要がある。

具体的データ

図1 酵素分析を利用したデンプンの簡易定量法の概略図 表1 デンプンの定量における従来法と簡易法の比較 図2 デンプン含量における従来法と簡易法の関係

 

その他

  • 研究課題名:消化特性の解明に基づいた稲発酵粗飼料の乳牛に対する合理的多給技術の開発
  • 課題ID:12-06-01-02-22-03
  • 予算区分:ブラニチ3系
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:松山裕城、塩谷繁、西田武弘、細田謙次、額爾敦巴雅爾、石田元彦