エストロジェン様内分泌かく乱物質はブタ子宮内膜のエストロジェンレセプターに競合的に結合する

要約

3H-エストラダイオール-17β(E2)の細胞質と核分画の結合反応に対するエストロジェン様内分泌かく乱物質(EDC)の結合の競合(50%)は、ジ エチルスチルベステロール、E2、ノニルフェノール、クメステロール、ビスフェノール、ダイアゼイン、フタル酸エステルの順である。

  • キーワード:生殖機能、ブタ、子宮内膜、エストロジェンレセプター、内分泌かく乱物質(EDC)
  • 担当:畜産草地研・家畜育種繁殖部・上席研究官(家畜繁殖担当)
  • 連絡先:電話029-838-8632、電子メールaokano@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

天然型ステロイドホルモンは、標的器官の細胞内のレセプターと結合して始めてホルモンとしての信号誘導をもたらし生理作用が生じる。一方、生理作用をか く乱する人工的な化学物質(EDC)の多くは、ステロイドホルモンと同じレセプターに結合するため、両者の間で競合関係が生じる。その結果、偽の信号誘導 をもたらして、生理作用をかく乱する危険性が示唆されているが不明な点が多い。家畜生殖器を構成する細胞に対する天然型のエストロジェンとEDCとの作用 競合はまったく不明であるため、比較する形で検討した。

成果の内容・特徴

  • 成熟雌ブタから採取した子宮内膜組織をホモジェネート処理後、細胞質および核分画を分離し、3H標識エストラダイオール (3H - E2)を放射性リガンドとして、ラジオレセプターアッセイー(RRA)を行なった。細胞質および核分画への3H - E2の結合は、タンパク質量に依存して増加し、4°Cで24時間、20°Cで4時間で最高となる(図1)。
  • 3H - E2と細胞質と核分画の結合反応における時間と温度およびタンパク質量等のRRAの条件と結合特性をスカチャード分析によって検討したところ、3H - E2の結合特性は、雌ブタの発情周期によって差異があるが、Kd=0.12~0.49nM、Bmax=0.24~0.015nmol/mg proteinの範囲にある(図2)。
  • 細胞質と核分画との3H - E2の結合反応に対するE2とその作用をかく乱する可能性のあるEDCとして、ジエチルスチルベステロール(DES)、E2、ダイゼイン(Da)、ビス フェノール(Bis)、ノニルフェノール(Non)、フタル酸エステル(Ph)、クメストロール(Coum)との結合競合を検討したところ、3H - E2の細胞質と核分画の結合反応に対する競合(50%)は、Des、E2、Non、Coum、Bis、Da、Phの順である(図3、4)。

成果の活用面・留意点

  • エストロジェン様の内分泌かく乱物質(EDC)が、家畜の生殖機能に影響を与える可能性があるので、実際の家畜飼養環境から排除するべきである。

具体的データ

図1.3H -エストラダイオール-17βの結合量と温度および時間との関係 図2.ブタ子宮内膜エストロジェンレセプターのスカチャード分析の代表的例 図3.エストラダイオール-17β結合量への競合化合物の影響(細胞質分画)  図4.エストラダイオール-17β結合量への競合化合物の影響(核分画)

 

その他

  • 研究課題名:家畜生殖器におけるステロイドホルモンおよび内分泌かく乱物質の作用競合の解明
  • 課題ID:12-01-04-*-02-01
  • 予算区分:環境研究(環境ホルモン)
  • 研究期間:1999~2002年度
  • 研究担当者:岡野彰