ニワトリ組織からの簡便なDNA抽出法

要約

Tris(pH7.5)-EDTA溶液にTween 20およびProteinase Kを添加した抽出液を用いることで、ニワトリ組織から迅速にDNAが抽出できる。さらに抽出されたDNAは直接PCRに用いることができる。

  • キーワード:DNA抽出、性判別、PCR、ニワトリ、家畜育種
  • 担当:畜産草地研・家畜育種繁殖部・育種素材開発研究室
  • 連絡先:電話029-838-8624、電子メールtagami@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地、
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

生殖細胞キメラニワトリを作製する場合、ドナー細胞とレシピエント胚の性を一致させる必要があるが、移植可能なドナー細胞およびレシピエント胚の発生段階 は2~5時間と短い。そのため細胞採取後できるだけ速やかに性判別しなければならない。そこで、初期胚組織の一部(0.1μg程度)または微量の血液 (1μl程度)など少量の細胞から、迅速かつ簡便にDNAを抽出し、直接PCRに用いられる方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • Tris(pH7.5)-EDTA溶液にTween 20およびProteinase Kを添加したDNA抽出液を用いることにより、採材から35分以内でDNA抽出を行うことができる(図1、2)。
  • 界面活性剤として用いたTween 20は、PCRを阻害しないという特性を持っているため、抽出したDNAを精製することなく、直接PCRに用いることができる(図2、3)。なお界面活性 剤としてSDSを用いた場合は、PCR反応は阻害されるため、フェノールによるタンパク質除去およびエタノール沈殿が必要である。
  • 本法は、タンパク除去およびDNA精製の作業が無いため、DNA抽出からPCRによる性判別の結果が得られるまでの時間を短縮できることから、生殖細胞キメラニワトリを作製する場合のドナー細胞とレシピエント胚の性判別に有効な技術である。

成果の活用面・留意点

  • 使用する試薬が安価で危険性も少ないことから、多数のサンプルを処理する際に低コストで迅速にDNA抽出ができる。
  • 性判別以外の用途で少量のサンプルからDNAを抽出する場合にも用いる事ができる。ただし、骨組織、精子については検討していない。

具体的データ

図1. DNA抽出溶液の組成

 

図2. DNA抽出のフローチャート

 

図3 PCRによる性判別の例

 

その他

  • 研究課題名:ニワトリ遺伝資源の始原生殖細胞による長期保存法の開発
  • 課題ID:12-01-02-*-11-03
  • 予算区分:ジーンバンク
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:田上貴寛、武田久美子、韮澤圭二郎、長嶺慶隆