トウモロコシ-アルファルファ輪作体系で高泌乳牛向け高蛋白質自給飼料供給が可能

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要約

都府県における高蛋白質自給飼料生産を目指したトウモロコシ-アルファルファ短期輪作体系では、10a当たり676kgの可消化養分総量(TDN)と132kgの粗蛋白質(CP)が生産され、搾乳牛群(経産牛頭数27頭)への全給与量の約37-8%に相当した。

  • キーワード:乳用牛、トウモロコシ、アルファルファ、TDN収量、CP収量、家畜飼養
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
  • 連絡先:電話0287-37-7004、電子メールyamada@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

都府県酪農における乳牛の高泌乳化に伴い、トウモロコシサイレージ給与量の低下並びに輸入アルファルファ乾草購入量の増加傾向が見 られ、飼料自給率低迷の一因となっている。マメ科のN固定能力とトウモロコシのTDN供給能力を組み合わせた都府県向けのトウモロコシ-アルファルファ短 期輪作体系を構築し、本体系における高泌乳牛向けの高タンパク質良質自給粗飼料の生産量及び収穫から給与までの損失実態の解明により、自給率向上に向けた 自給粗飼料生産の一層の効率化を図る。

成果の内容・特徴

  • 約8haの圃場を2haずつ4分割し、1区画毎にトウモロコシ2作(間に裏作イタリアンライグラス1作)-アルファルファ2年(4回刈り)が4年で一巡する輪作体系(単年度ではトウモロコシ4ha、裏作イタリアンライグラス2ha、アルファルファ4ha)を構築(図)。
  • ha当たり生産量は乾物収量として約88.3t(10.8t/ha)であり、TDN収量は55.4t(6.8t/ha)、CP収量は10.9t(1.3t)である(表1)。本収量を本体系導入以前の単収(トウモロコシ4ha+イネ科牧草8ha)と比較すると乾物収量・TDN収量が約20%の増加であるのに対してCP収量は約70%増加する。
  • 平均飼養頭数26.8頭(内、搾乳牛20頭)、平均305日乳量9,772kgの搾乳牛群を給与対象とした場合、この収量は給与TDN量の36.7%並びに給与CP量の37.5%に相当する(表1)。
  • カビによる廃棄はトウモロコシ3%、イタリアンライグラス6%、アルファルファ4%、給与時の乾物損失率は給与量に対して約2%であり(表2)、圃場収量から家畜への給与量までの間に6%∼13%程度の損失が見込まれる。

成果の活用面・留意点

  • 高泌乳牛向けの高蛋白質自給粗飼料生産の参考となる。
  • 輪作体系成立1年目のデータである。

具体的データ

図 トウモロコシ-アルファルファ輪作体系

 

表1 平成17年度における生産実績

 

表2 自給飼料の収穫-利用間の損失率

 

その他

  • 研究課題名:トウモロコシ-アルファルファ短期輪作体系を基盤とする環境共生型酪農モデルの開発と評価
  • 予算区分:交付金・所特定
  • 研究期間:2004∼2005年度
  • 研究担当者:山田明央、野中和久、小林良次