収量性と病害抵抗性に優れるオーチャードグラス新品種「まきばたろう」

要約

オーチャードグラス「まきばたろう」は、収量性、病害抵抗性、永続性および季節生産性に優れる中生系統である。東北北部から九州高標高地まで広範囲の地域に適応し、放牧・採草兼用品種として広く普及が見込まれる。

  • キーワード:オーチャードグラス、中生、収量性、病害抵抗性、永続性、飼料作物育種
  • 担当:畜産草地研・飼料作物育種研究チーム
  • 連絡先:電話0287-37-7550、電子メールwww-nilgs@naro.affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

オーチャードグラスは我が国の永年草地の基幹草種として北海道から九州高標高地まで広く栽培され、採草および放牧に利用されている。これまでに、温暖地向きの中生の品種として「マキバミドリ」が育成されているが、収量性や耐病性などに改良の余地があった。そこで、これらの特性に優れた新品種を育成し、「マキバミドリ」に置き換えて広く普及を図る

成果の内容・特徴

  • 出穂始日は中生の「マキバミドリ」より全場所平均で約3日早いが、早生の「アキミドリII」より約8日遅く、“中生”に属する(表1)。
  • 収量性は「マキバミドリ」より明らかに優れ、合計乾物収量は青森から大分までの8場所平均で「マキバミドリ」比で8%高い(表2)。また、全ての場所で「マキバミドリ」を上回る収量性が認められ、東北北部から九州高標高地まで適応地域は広い(表2)。
  • 病害抵抗性に極めて優れる。さび病抵抗性は「マキバミドリ」より優れ、「アキミドリII」よりやや優れる”強~極強”、雲形病抵抗性は「マキバミドリ」と同程度で、「アキミドリII」よりやや優れる”強~極強”、うどんこ病抵抗性は「マキバミドリ」よりやや優れる”強”、炭そ病抵抗性は「マキバミドリ」よりやや優れる”やや強”である(表1)。
  • 永続性に優れる。育成地において、「まきばたろう」のマキバミドリ比の年間乾物収量は年次を追うごとに高くなっており(図1)、経年による衰退が少ないことを示している。
  • 秋の草勢が「マキバミドリ」より優れる(表3)。
  • 東北における越冬性は「マキバミドリ」と同程度、耐雪性は「マキバミドリ」と同程度の”中”である(表1)。
  • 乾物消化率は「マキバミドリ」よりやや高い(表3)。
  • 採種性は「マキバミドリ」と同程度である(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 東北北部から九州高標高地までを適地とする。中生の採草・放牧兼用品種として、「マキバミドリ」に置き換えて普及を図り、普及面積は4,500haが見込まれる。
  • 葉腐病が発生する場合があるため、夏季は過繁茂にならないように留意する。

具体的データ

表1.まきばたろうの諸特性

表2 年次別および試験期間中の合計乾物収量(マキバミドリを100とする百分比)

図1.まきばたろうの年次別合計乾物収量表3.形態等の諸特性(育成地)

その他

  • 研究課題名:粗飼料自給率向上のための高TDN収量のとうもろこし、牧草等の品種育成
  • 課題ID:212-c
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:1992~2006年度
  • 研究担当者:荒川明、杉田紳一、水野和彦、矢萩久嗣、内山和宏、小松敏憲、廣井清貞、水上優子、神戸三智雄