マクロファージからのロイコトリエンB4産生を抑制する乳酸菌の簡易検索法

要約

炎症反応を引き起こすロイコトリエンB4の産生を抑制する乳酸菌の検索に使用できる。当該方法は培養細胞を用いており、動物・ヒトから採取した白血球を用いる従来法よりも簡便である。

  • キーワード:プロバイオティクス、乳酸菌、抗炎症、ロイコトリエンB4
  • 担当:畜産草地研・畜産物機能研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8688
  • 区分:畜産草地
  • 分類:研究・普及

背景・ねらい

ロイコトリエンB4(LTB4)は生体恒常性維持などの生体調節機能を持つ重要な物質であるが、過剰に生産されると炎症反応を引き起こし、炎症性腸疾患などの原因になるとされている。これまでLTB4産生を抑制する物質の検索においては、動物・ヒト(ドナー)からLTB4産生細胞を採取して行なわれてきたが、操作が煩雑であり、ドナーの状態により結果が異なる可能性が指摘されている。近年、乳酸菌による生理的効用(プロバイオティック機能)について世界的に関心が高まってきている。そこで本研究では容易に入手できる培養細胞を用い、乳酸菌を被験物質として、LTB4産生抑制活性の簡易検索法を開発することを目的とする。

成果の内容・特徴

  • BALB/cマウス由来マクロファージJ774.1株(アメリカンタイプカルチャーコレクション TIB67、理化学研究所バイオリソースセンター J774.1)を5×105/mlで播種し、10%ウシ胎児血清(FCS)-RPMI1640培地(100 U/mlペニシリン、100 μg/mlストレプトマイシン、0.5μM 2-メルカプトエタノール添加)で2日間培養後、乳酸菌(生菌、1mgまたは5 mg/ml)を、カルシウムイオノフォアA23187(20 μg/ml エタノール)存在下で共培養し、培養2-3時間後の培養上清中のLTB4量を測定する(図1)。
  • 汎用されている培養細胞株を用いてもマクロファージからのLTB4産生を確認できる(図2)。カルシウムイオノフォア無添加の場合、LTB4産生は検出されなかった。
  • 供試した乳酸菌7株について、菌株により差はあるものの5mg/ml添加では、供試したすべての乳酸菌にマクロファージからのLTB4産生抑制活性が見られる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • ドナーを必要としない簡便なLTB4産生抑制活性を有する乳酸菌の検索法として利用できる。
  • 乳酸菌以外の物質についても簡便なLTB4産生抑制活性測定法として応用が見込まれる。
  • J774.1以外の培養細胞株については、実験条件の検討が必要である。
  • 選抜された乳酸菌の抗炎症作用の実証には、生体での効果の検証が必要である。

具体的データ

図1 実験手順

図2 乳酸菌と共培養した場合のJ774.1株からのロイコトリエンB4産生

その他

  • 研究課題名:プロバイオティック乳酸菌等を活用した機能性畜産物の開発
  • 中課題整理番号:312d
  • 予算区分:基盤、委託プロ(食品)
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:木元広実、鈴木チセ、小林美穂、佐々木啓介、水町功子
  • 発表論文等:Kimoto-Nira et al. (2009) Int J Food Microbiol. 129:321-324