「エコフィード」利用型豚肉に対する消費者イメージ

要約

消費者の大部分は「エコフィード」利用型豚肉を認知しておらず、特定のイメージを持っていない。また、養豚や飼料に関する知識が高い消費者群は「エコフィード」利用型豚肉にポジティブなイメージを持つ。

  • キーワード:エコフィード、豚肉、消費者、イメージ
  • 担当:畜産草地研・畜産物品質研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8611
  • 区分:畜産草地
  • 分類:行政・普及

背景・ねらい

農林水産省や地方自治体により推進されている食品循環資源の飼料化、すなわち「エコフィード」のさらなる普及においては、消費者理解の醸成と生産技術の普及を同時に実施する必要がある。一方、かつての食品循環資源を利用した養豚は「残飯養豚」と呼ばれ品質の低い豚枝肉が生産されたなどの歴史もあり、このような過去のイメージが「エコフィード」利用型豚肉の消費に悪影響を及ぼすことを懸念する生産者・流通業者も少なくない。そこで、消費者における「エコフィード」利用型豚肉に対するイメージおよび養豚等に関する知識を調査・解析し、今後行政部局において立案される「エコフィード」のさらなる推進および普及に係る施策において、消費者理解の醸成と生産者・流通業者の持つ懸念の払拭のために必要なアプローチを示す。

成果の内容・特徴

  • 本結果は、東京都、大阪府、静岡県在住の計1500名を対象としたインターネットによるアンケート調査をとりまとめたものである。本調査の対象者は、インターネットを通じて調査会社にあらかじめ登録された「食品を週に1度以上自分で購入する」者から、年齢層および性別が均等になるよう無作為にサンプリングされた者である。
  • 「エコフィード」については69.3%の回答者が「全く知らなかった」と回答している。
  • 回答者は「エコフィード」利用型豚肉に対するイメージから4群に分類可能であり、もっとも人数の多い第1群は「エコフィード」利用型豚肉に対して特定のイメージを持っていない(図1)。
  • 「残飯養豚」に関してはどの回答者群においても認知度が低いが、「エコフィード」に関してポジティブなイメージを持つ第2群においては、「残飯養豚」を初めとして、養豚技術や養豚用飼料、および豚肉に関する知識が他群より高い(表1)。「エコフィード」利用型豚肉の消費促進に際して、かつての「残飯養豚」のイメージを懸念する必要はないものと認められる。

成果の活用面・留意点

  • 「エコフィード」利用型豚肉に対して多くの消費者は未だ認知しておらず、かつ特段のイメージを有さないため、行政部局から発信される情報が消費者に浸透および定着しやすい状況であることを前提に消費者理解の醸成を図る必要がある。また、養豚や養豚用飼料に関する正しい知識の普及が消費者理解の醸成には効果的である。
  • 養豚に対する「エコフィード」のさらなる普及に際して、生産者や流通業者に対しては「残飯養豚」のイメージへの対応が不要であることを示すことができる。

具体的データ

「エコフィード」利用豚肉へのイメージに基づく回答者群の分類と構成比

 

各回答者群における養豚等に関する知識の高さ

その他

  • 研究課題名:乳肉の美味しさ等の品質に影響を与える因子の解明と新たな評価法の開発
  • 中課題整理番号:311h.1
  • 予算区分:実用技術
  • 研究期間:2008~2010年度
  • 研究担当者:佐々木啓介、合崎英男、本山三知代、大森英之、川島知之
  • 発表論文等:1) Sasaki K. et al. (2011) Anim. Sci. J. 82: 175-180.