北関東におけるエリアンサスの乾物収量と養分収支

要約

北関東におけるエリアンサスの乾物収量は最も多収の系統・施肥量では4年目に41t/haに達する。窒素・リン酸・カリ各90kg/haの施肥量でも高い乾物生産性を示すが、乾物収量が多い系統や栽培条件では窒素及びカリの収奪量が増大する。

  • キーワード:エリアンサス、乾物収量、養分収支
  • 担当:バイオマス利用・資源作物生産
  • 代表連絡先:電話 029-838-8647
  • 研究所名:畜産草地研究所・飼料作物研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

バイオ燃料技術革新計画(2008年策定)及びバイオマス活用推進基本計画(2010年閣議決定)に基づいて、食料と競合しない原料作物の研究開発が進められており、長期的多収性や燃料特性(低灰分・高発熱量)の面からイネ科多年生草本エリアンサス(Erianthus arundinaceus)が注目されている。エネルギー作物の有力候補とされる多年生イネ科植物の多くは低投入で高いバイオマス生産性を示すものの、土壌からの養分収奪量が施肥量よりも多くなる事例も報告されている。実規模生産における適切なエリアンサス栽培条件を検討するため、系統・栽培条件を異にするエリアンサスの乾物収量と養分収支を定植後4年間にわたって明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 畜産草地研究所(栃木県那須塩原市)において2009年6月9日に栄養系で定植したエリアンサス3系統「JW630」・「NS1」・「NS2」の乾物収量は、1年目は0.9~3.8t/haと少ないが、2年目以降にはいずれの系統も15t/haを超え、最も多収の「JW630」では4年目に38~41t/haに達する(表1)。
  • 同じ施肥水準で比較した乾物収量は、2年目までは疎植(2500株/ha)に比べ密植(5000株/ha)の方が多いが、3年目以降は同程度になる(表1)。
  • 同じ栽植密度で比較した乾物収量は、窒素(N)、リン酸(P2O5)およびカリウム(K2O)の年間施用量がそれぞれ90kg/haと180kg/haの条件で比較すると、増施の影響を受けない(表1)。
  • エリアンサスは少ない施肥でも高い乾物収量を示すが(表1)、窒素(N)およびカリウム(K)では、乾物収量が多くなるにつれて収奪量が施肥量を上回るようになる(表2)。施肥量は乾物収量に応じて、すなわち、定植後の経過年数や系統の多収性に応じてより多くする必要がある。

成果の活用面・留意点

  • エリアンサスは肥料以外の給源(主に土壌)からの窒素獲得能が高いことが明らかになっており、これが少ない施肥量でも収量が低下しにくい一因と考えられるが、持続的生産のためには、収量が多くなる3年目以降について養分収支に基づいた適切な施肥基準の検討が必要である。
  • 冬季の立毛乾燥に伴う養分循環を前提としたデータに基づくため、立毛乾燥前の収穫や、立毛乾燥しない熱帯・亜熱帯地域では、養分収奪がさらに大きくなる可能性がある。

具体的データ

図1

その他

  • 中課題名:セルロース系バイオマス資源作物の作出と低コスト生産技術の開発
  • 中課題整理番号:220a0
  • 予算区分:交付金、その他外部資金(NEDO)
  • 研究期間:2009~2015年度
  • 研究担当者:松波寿弥、小林真、安藤象太郎、寺島義文(国際農研)、霍田真一、佐藤広子
  • 発表論文等:松波ら(2016)日草誌、61(4):224-233
法人番号 7050005005207