集会所のデザイン決定プロセスに民意を反映させるワークショップ手法

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要約

集会所建設の計画にワークショップ手法を導入し、住民参加型デザイン決定プロセス・モデルを構築した。また、策定事例の解析からプロセスを円滑にするための要点を明らかにした。

  • 担当:農業工学研究所・農村整備部・集落整備計画研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7668
  • 部会名:農業工学
  • 専門:農村整備・農村計画
  • 対象:計画・設計技術
  • 分類:行政・普及

背景

集会所の建設は、地域内の意志疎通やコミュニティー活性化はもとより、地域外住民との交流促進に寄与することが期待されており、その機能とデザインは住民の意向が反映されているのが前提となる。しかし、発意から計画そして竣工にいたるまでの過程で、民意を反映させる方法は容易ではない。このため、集会所のデザイン決定プロセスに住民が参加するワークショップ(以下W・S)注の導入を提案し、その有効な運用方式の確立を目的とした。

成果の内容・特徴

  • 積極的に民意を反映しようとしている集会所の建設事例に着目し、建設発意、事業導入、計画策定、設計から施工までをつぶさにトレースした結果と、行政・住民インタビュウによる評価結果に基づいてW・Sが必要かつ有効となる時期と、その具体的対応をデザイン決定プロセス・モデルのチャートとして提案した(表1)。
  • 実施事例では、構想~前期計画段階でのW・Sは、参加者に評価が高く、逆に不参加者には不満意識が残ることがあり、複数回の開催の必要性が確認された。また、後期計画段階以降においても、節目節目における住民への情報の周知徹底が重要となる。
  • また、プロセスの成否に影響を与える要素として、1地域ポテンシャル(立地条件や経済的実態、あるいは地域づくりの熱意)、2建設委員会の構成員、3支援組織(設計事務所、有識者等)の能力、4行政の熱意、5意見の取り上げ方法、6情報公開の方法、7リーダーの有無、8自主建設・自主管理意欲等が重要であり、その具体的内容を整理した(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 今後の集落集会所建設に広く活用できる。
  • 活用に当たっては、集落・地域の社会的環境・体質を十分把握する必要がある。

注)ここで言うワーク・ショップ(W・S)とは、実際に参加者(当事例では、集会所を実際に活用する主体としての集落住民)が、ある目標に対して自らの意志で集まり、それに向けての作業を通じて意思を伝達する「場」あるいは「行為」を指す

具体的データ

表1 ワークショップ(W.S)手法を導入した計画プロセスモデル
表2 プロセスに大きな影響を与える要素

その他

  • 研究課題名:農村・都市交流施設のデザイン決定プロセスのモデル化
  • 予算区分:経常・依頼・受託
  • 研究期間:平成12年度(平成8~12年度)
  • 研究担当者:筒井義冨、小嶋義次、岡本佳久、山本徳司、小林宏康
  • 発表論文等:1)岡本佳久、小嶋義次、筒井義冨、山本徳司、小林宏康(2000.3):むらづくり支援のための住民意識調査システムの開発、農工研技法
                      2)小嶋義次(1999.10):平成11年度、大和村鷲宿集落シンポジュウム資料
                      3)筒井義冨(2000.11):平成11年度、生活関係普及員技術強化研修資料