軽焼マグネシアを主成分とする土壌硬化剤

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要約

開発した土壌硬化剤は、軽焼マグネシアとリン酸肥料を主原料とする。セメントや石灰で固めることが難しかった有機質土壌や高含水土壌も固めることができる。硬化物は弱アルカリであり、粉砕すれば土およびリン酸肥料として使用できる。

  • 担当:農業工学研究所・農地整備部・水田整備研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7642
  • 部会名:農地整備
  • 専門:施工技術
  • 対象:維持・管理技術
  • 分類:普及

背景

水田における畦畔及び畦畔下からの漏水防止は、用水不足対策や肥料、農薬の流出防止による水環境への負荷軽減といった問題を解決する上から重要である。また、畦畔漏水防止は水稲作のみならず水田における麦・大豆等の栽培においては、隣接圃場からの水の侵入を防ぐために必要である。そこで、現地土壌との混和・成型により畦畔造成に利用可能な土壌硬化剤を開発するとともに、その汎用利用技術を検討する。

成果の内容・特徴

開発した土壌硬化剤と土壌を混和し、自然硬化または転圧成型、加圧成型を行うことによって、従来はセメント等を用いて固化作用を期待した製品や構造物を製造できる。

  • 本硬化剤は土壌中の水分と結合すると水酸化マグネシウムとなり,初期硬化を開始しゲル状となる。その後、リン酸や空気中の炭酸ガスと反応して、リン酸マグネシウム及び塩基性炭酸マグネシウムとなり強度を増大する。
  • pHが低く環境負荷の少ない構造物を得ることができる。また,水分の吸排水特性の良好な構造物が得られる。
  • 硬化物は粉砕して現地の土壌と混合しても作物の生育や土壌環境に影響を与えず、むしろ肥料分として還元される。
  • 水田畦畔の表面を改良すると、漏水防止効果とともに雑草繁茂が抑制される(図1、図2)。
  • 高含水土壌に対して同一量を添加した場合、既存の固化材よりも高強度で固化できる(図3)。また、脱水作用があり、汚泥と混和すると乾燥し、また、再び水中に入れてもヘドロ化しないため、ため池や下水汚泥等の処理にも適している(図4)。

成果の活用面・留意点

マグホワイトを畦畔漏水防止に利用する場合には、各地の土壌条件に応じた添加量や土壌水分量を事前に検討する必要がある。

具体的データ

図1 畦畔改良
図2 畦畔改良前後の田面水位の変化
図3 高含水土壌の硬化試験
図4 高含水有機汚泥の硬化状況と水中安定性

その他

  • 研究課題名:新たな水田農業に対応した水利用の実態解明と水管理適正化技術の開発
  • 予算区分:経常(交流共同研究)
  • 研究期間:平成12年度(平成11~13年)
  • 研究担当者:藤森新作、小堀茂次(東武化学(株))
  • 発表論文等:1)藤森新作、小堀茂次、自然環境にやさしい土壌硬化剤マグホワイトの開発、農土学会誌、68(12)、1297-1300、2000.
                      2)藤森新作、軽焼マグネシアを主成分とする土壌硬化剤マグホワイトの開発とその利用技術、Techno Innovation、10(2)、33-37、2000.
                      3)藤森新作、マグネシア系土壌硬化剤の開発、ベース設計資料、104、24-26、2000.
                      4)藤森新作、小堀茂次、土壌硬化剤組成物とその製造方法、特許出願中(出願番号:特願2000-8634)