水位に追随して自動開閉する機構を備えた取水口の浮遊性ゴミ流入防止装置

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要約

頭首工の取水口に流入する浮遊性ゴミを取水口から下流に誘導することによりゴミ除去労力を軽減できる装置で、ガイドピンとガイド溝を設置することにより、装置は安定して水位変動に追随、上下動、自動開閉する。

  • キーワード:取水口、浮遊性ゴミ、水位上昇、流入防止
  • 担当:農工研・施設資源部・水源施設水理研究室
  • 連絡先:電話029-838-7563、電子メールgriese@affrc.go.jp
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政 普及

背景・ねらい

河川へのゴミ投棄等によって取水口に設けられるスクリーンにゴミが付着して取水量が低下するなど、ゴミによる取水機能の低下が問題となっている。ゴミは人力や除塵機によって除去されているが、ゴミの除去や処理には多大な労力と費用を要することから、取水口のゴミ処理に関する労力及び費用の軽減が求められている。
本研究では、「浮遊性塵芥流入防止装置(特許-第380017号)」(図1)の現地実証試験を実施して、問題点の摘出、機器の改良を行い、安定して稼働する装置・機構の実用化を図る。

成果の内容・特徴

  • 設置した頭首工では、河川内水位が土砂吐ゲート上部から30cm上昇すると土砂吐ゲートを操作して放流を開始する管理を行っている。そこで本装置は、河川内水位が土砂吐ゲート上部の時には、図2のように河川内に張り出して、流下してくる浮遊性ゴミを下流に流下させる。
  • 河川内の水位上昇に伴って、装置は自動的に徐々に閉じていき、土砂吐ゲートが操作される水位では図3のように取水口に接するような状態となり、洪水の流下には影響を与えることがない。
  • 本装置には手動で装置を閉じる(図3の状態にする)ためのジャッキが取り付けられており、故障時にはジャッキを使用して、本装置を閉じることができる。
  • 前装置では防止板の開度をバネにより維持していたのに対して(図1)、上下動に抵抗の少ないローラを使用することで、防止板の開閉を容易にした(図4)。
  • バネ部に水圧が作用して上下方向の稼働に支障が生じていたため(図1)、ガイドピンとガイド溝を設置することにより、水位の上下と共に浮遊性塵芥流入防止板を開閉する機構にした(図5)。
  • 浮遊性塵芥流入防止板を中空構造とした。これによって、防止板自体が浮力を有し、フロートをコンパクトにでき、取水口から河川側への張り出しを少なくした(図2、3)。

成果の活用面・留意点

  • 設置予定の取水口の通常時の水位とゲート操作を開始する水位の関係、洪水時の水位等を勘案して設計する必要がある。
  • 設置前には、土砂吐や魚道への流れの状況、流入するゴミの種類や量、河川流量とゴミの関係、取水口へのゴミの集積状況などを調査して装置設置時の状況を想定することが望まれる。

具体的データ

図1 従来の装置図2 設置した新しい装置(平水時の状況)

図3 洪水時の閉じた状況(丸印:ジャッキ)

図4 ガイドピンに付けられたローラ図5 ガイド溝とガイドピン

その他

  • 研究中課題名:農業水利施設の機能診断・維持管理及び更新技術の開発
  • 実施課題名:頭首工の水利機能診断法と対策技術の開発
  • 課題ID:412-a-00-008-00-I-06-4801
  • 予算区分:交付金プロ(施設機能)
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:後藤眞宏、浪平篤、常住直人、高木強治、小林宏康、山本敬二(丸島産業株式会社)、
                      松村鎌司(丸島産業株式会社)
  • 発表論文等:特許出願中「浮遊性塵芥流入防止装置」(特願2006-282769)(出願日:2006.10.17)