農産物直売所が農村活性化の核として成長するための条件

要約

農産物直売所が農村活性化の核として都市農村交流や地産地消に貢献するためには、生産者組織を含む地域ネットワークを構築し、組織の成長に合わせた段階的な施設整備と事業展開を行う必要がある。

  • キーワード:農産物直売所、農村活性化、生産者組織、地域ネットワーク
  • 担当:農工研・農村計画部・集落機能研究室
  • 連絡先:電話029-838-7668、電子メールkarasa@affrc.go.jp
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政 参考

背景・ねらい

農産物直売所は農村活性化の核として全国的に注目されており、地域農産物の販売による経済効果のみならず、都市農村交流や食育など様々な公益的な役割を果たしている。近年、農産物直売所が交流施設を併設し、都市農村交流活動に取り組むなど、多様な活動を展開する事例がみられる。そこで全国20事例を対象として、組織、事業、施設整備の展開過程の分析を行い、農産物直売所が農村活性化の核として成長する条件を解明する。

成果の内容・特徴

  • 農産物直売所が農村活性化の核として事業を展開する場合、農産物販売に特化した初期段階から、消費者との交流に向けた取り組みへと、段階性をもって進む傾向がみられる。それは4つのステップに分けられ、それぞれのステップで行われる活動内容は、運営主体の組織化と施設整備の観点から分類できる(表1)。組織の成長に伴って活動内容は多様化し、活動の展開に応じた施設整備が行われている。
  • こうした直売所の特徴は、直売所発足時の運営組織、組織運営体制、消費地と生産地との地理的関係の3つの視点から整理できる(表2)。段階的な成長を遂げた事例にはいくつかの傾向がみられ、A)朝市等の小さな生産者組織から成長し、活動実績に応じて公的事業の導入や組織拡大を図っている。B)体験・交流などを含む多様な活動を生産者が協力・分担するために、部会型の組織運営を行っている。C)販売力強化に応じ、地域内消費型から、集客範囲と生産者の参集範囲を地域外に広げるケースがみられる。
  • 直売所が成長するプロセスの典型として、行政が主導的な役割を果たす行政・地域連携方式の事業展開がみられる(図1)。行政が構想・計画段階から住民・地域組織と連携し、地域ネットワークを構築することで、直売所発足前の組織化が促進される。また、発足後の活動実績と成長に応じて公的事業による施設整備が可能となる。
  • こうした組織化を促進する条件として、生産者組織を含めた地域ネットワークが存在する。ネットワーク化のプロセスには、1)意識啓発・参加機会の創出、2)既存の活動や地域資源に関する情報共有、3)自立的な組織づくりの3つのステップがみられる。発足時の運営組織を問わず、生産者が主体性を持ち自立的に運営される組織では、多様な活動を実現しつつ安定的な事業展開が行われている。

成果の活用面・留意点

  • 本研究の成果は、農産物直売所を核とした農村活性化対策に取り組む際の計画策定に活用できる。
  • 行政主導によらない場合、地域協議会にみられる既存の地域組織が連携する地域ネットワーク、あるいはJA、法人・組合役職員の強い指導力によって組織づくりに取り組む必要がある。

具体的データ

表1 事業展開プロセスにみられる段階性   表2 段階的な成長を遂げた事例の特徴

図1 行政・地域連携方式の事業展開プロセス

その他

  • 研究中課題名:農村地域の活力向上のための地域マネジメント手法の開発
  • 実施課題名:農産物直売所等を介した交流活動に対する住民参加インセンティブの解明
  • 課題ID:413-a-00-002-00-I-06-7101
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:2006~2007年度
  • 研究担当者:唐崎卓也、安中誠司、山本徳司
  • 発表論文等:唐崎卓也・山本徳司(2007),農産物直売所の整備事例からみた事業展開プロセスの分析,
                      農工研技報、206、pp.129-139