耐病虫性、多収、高品質でイソフラボン含量が高い豆腐用だいず新品種「ふくいぶき」

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要約

だいず新品種「ふくいぶき(東北126号)」は、「スズユタカ」と同じ成熟期の“中の晩”に属し、ダイズモザイク病抵抗性及びダイズシストセンチュウ抵抗性はともに強であり、子実収量は「スズユタカ」よりやや多収である。豆腐加工適性は良好であり、子実中のイソフラボン含量が高い。

  • キーワード:ダイズシストセンチュウ抵抗性、ダイズモザイク病抵抗性、高イソフラボン含量、高品質、多収
  • 担当:東北農研・水田利用部・大豆育種研究室
  • 連絡先:0187-75-1043
  • 区分:東北農業・畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

国産大豆の定着のため、豆腐加工適性が高く、付加価値のある大豆品種の安定的生産が要望されている。そのため、ダイズモザイク病とダイズシストセンチュウに抵抗性を有し、抗ガン作用、更年期障害緩和などの機能性を有する成分のイソフラボン含量が高くて豆腐加工に適した多収品種の育成を図る。

成果の内容・特徴

  • ウイルス病抵抗性、ダイズシストセンチュウ抵抗性および強茎化を目標に、ダイズシストセンチュウ抵抗性で極大粒の「東北96号」を母に、ダイズモザイクウイルス抵抗性の「デワムスメ」を父として人工交配を行い、以後、選抜・固定を図り、育成した系統である。平成13年における世代はF14である。
  • ダイズモザイク病抵抗性(A、B、C、Dの各系統に抵抗性)とダイズシストセンチュウ抵抗性が“強”である。
  • 子実収量は「スズユタカ」と比べ、育成地の普通畑標準播、普通畑晩播、転換畑標準播のいずれにおいてもやや多収であり、奨励品種採用予定の福島県においても、概ね「スズユタカ」より多収である。倒伏抵抗性は「スズユタカ」よりも強い。
  • 裂皮の難易は“中”で、外観品質は「スズユタカ」よりやや優れる。
  • 粒の大きさは「スズユタカ」よりやや大きい“中の大”に属し、臍色は“黄”、種皮色は“黄白”である。
  • 粗蛋白質含有率は「スズユタカ」とほぼ同等で、豆腐加工適性は良好である。子実および豆乳中のイソフラボン含量が高いことから、高イソフラボン含量豆腐の製造が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 栽培適地は東北南部及び北陸地域である。
  • 福島県で奨励品種として採用予定である。
  • ダイズシストセンチュウ抵抗性を有しているが、連作は収量の低下や土壌伝染性病害の蔓延を招くので、適切な輪作のもとで栽培を行う。
  • 子実中のイソフラボン含量が高いので、高機能性製品の開発が期待される。

具体的データ

表1 「ふくいぶき」の特性一覧表

 

表2  子実中のイソフラボン含量

その他

  • 研究課題名:だいずの新品種の育成、機械化適性・多収良質大豆品種の育成、
                      機能性向上のための大豆有用遺伝資源の検索及び高イソフラボン含量系統の育成
  • 予算区分:交付金、委託プロ(21世紀2系)
  • 研究期間:1988~2001年度
  • 研究担当者:島田信二、高田吉丈、境 哲文、河野雄飛、島田尚典、高橋浩司、足立大山、田渕公清、
                      菊池彰夫、湯本節三、中村茂樹、伊藤美環子、番場宏治、岡部昭典、高橋信夫、渡辺 巌、長沢次男