種皮および子葉が緑色で早熟のだいず新品種「青丸くん」

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要約

だいず新品種「青丸くん(東北141号)」は、成熟後も種皮および子葉が濃い緑色をした青豆で、成熟期は既存の青豆よりもかなり早く多収である。倒伏抵抗性が強く難裂莢性なので、機械化栽培も容易である。既存の青豆よりも緑色の濃い豆腐が製造でき、特産大豆として期待される。

  • キーワード:青豆、子葉色、早熟、機械化適性
  • 担当:東北農研・水田利用部・大豆育種研究室
  • 連絡先:0187-75-1043
  • 区分:東北農業・畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

東北地域では、成熟後も種皮や子葉が緑色を呈した青豆を用いた大豆製品の根強い需要があるが、現在作付けされている青豆品種は、極晩生で倒伏も著しく安定生産が困難である。そのため、より早生で機械化栽培が容易な青豆品種の育成を図る。

成果の内容・特徴

  • 子葉と種皮が緑色で機械化適性に優れた大豆品種の育成を目標に、核遺伝子支配で子葉が緑の「赤青D165」を母に、倒伏抵抗性強の「タチユタカ」を父として人工交配を行い、以後、選抜・固定を図り、育成した系統である。平成13年における世代はF11である。
  • 成熟期は「スズカリ」よりもやや早い“中の早”に属し、現在、岩手県で作付けされている「岩手みどり」、「秘伝」などの他の子葉緑品種よりもかなり早熟である上、安定多収である。
  • 裂莢の難易は“難”、倒伏抵抗性は“強”、最下着莢節位高は“中”で、「岩手みどり」、「秘伝」に比べて機械化栽培が極めて容易である。
  • ダイズモザイクウイルスのC、D系統に抵抗性である。
  • 粒の大きさは「スズカリ」よりやや小さい“中”に属し、粒形は“球”、光沢は“弱”である。粗蛋白質含有率および粗脂肪含有率は「スズカリ」と同じ“中”に分類される。裂皮の難易は“中”で、外観品質は「スズカリ」並の“中の上”である。
  • 豆腐加工では、適正凝固剤濃度範囲が他の青豆と同様に狭い傾向がみられたが、物性や官能評価に特に問題はなく、淡緑色の豆腐が製造できる。

成果の活用面・留意点

  • 地域産の特徴のあるだいずを活かした特産品の製造に利用できる。
  • 栽培適地は東北中部地域である。
  • 平成13年度に岩手県の奨励品種として採用予定である。
  • シストセンチュウ抵抗性を持たないので、汚染圃場での栽培と連作は避ける。
  • ダイズモザイクウイルスのA,B病原系統に抵抗性を持たないので、これら系統が発生する地域では、種子更新により無病種子を使用するとともに、アブラムシ防除に努める。
  • 青豆としての特性を維持するため、できる限り本品種単一の集団栽培を行い、他品種との自然交雑を避ける。

具体的データ

表1 「青丸くん」の特性一覧表

その他

  • 研究課題名:だいずの新品種の育成、機械化適性・多収良質大豆品種の育成
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1990~2001年度
  • 研究担当者:島田信二、高田吉丈、境哲文、河野雄飛、島田尚典、高橋浩司、足立大山、田渕公清、菊池彰夫、
                      湯本節三、村田吉平、酒井真次
  • 発表論文等:1)菊池・村田・田渕・酒井 (1993) 育雑 43(別2):112.