ソバスプラウトに含まれるフラボノイドの抗ストレス作用

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

拘束ストレス負荷したマウスに経口投与されたソバスプラウトフラボノイドは、血漿の抗ストレスホルモン、グルコース、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)活性、血漿及び肝臓の脂質過酸化度のいずれについてもその上昇を抑制することから、ストレス緩和作用及び生体内酸化ストレスの亢進抑制作用が期待される。

  • キーワード:ソバスプラウト、フラボノイド、抗ストレスホルモン、生体内酸化ストレス
  • 担当:東北農研・寒冷地特産作物研究チーム
  • 連絡先:電話019-643-3513、電子メールwww-tohoku@naro.affrc.go.jp
  • 区分:食品試験研究、東北農業・流通加工
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

現代はストレス社会とも言われるように、我々の周りには多様なストレスが存在する。過度のストレス状態が持続すると、副腎皮質ホルモン(抗ストレスホルモン)の継続的な分泌や生体内酸化ストレスの亢進が生体に障害を与え、また糖尿病等生活習慣病の発症にも関係するとされている。このため抗ストレス作用を有する食品成分が注目されている。そこで、ソバスプラウトに豊富に含まれる抗酸化物質であるフラボノイドの、ストレス負荷時におこる生体内反応への影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • マウスは吸気口を開けた遠心チューブに24時間拘束・絶食処理(RC群)により、非拘束・自由摂食(NC)群に比べて血漿中のコルチコステロン(抗ストレスホルモン)量が上昇する。これに対し、ソバスプラウト抽出物からSephadex LH-20により調製したフラボノイド(組成:ルチン、30%;オリエンチン、12%;イソオリエンチン、17%;ビテキシン、16%;イソビテキシン、25%)(以下SF)を胃内投与し、24時間拘束・絶食(RE群)することにより、血漿中のコルチコステロン量は RC群と比較して有意に低下する(図1)。
  • 血漿グルコースはRC群でNF(非拘束・絶食)群と比較して上昇し、RE群では上昇が抑制される(図2)。
  • RC群ではNC群と比較して肝障害の指標である血漿グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)活性が上昇するのに対し、RE群では有意に上昇が抑制される(図3)。従ってSFの投与によりストレスによる肝臓のダメージが軽減する。グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)活性については有意差は認められないものの、同様の傾向を示す。
  • 血漿及び肝臓の脂質過酸化度(TBARS)はNC群と比較してRC群で上昇することから、ストレスの負荷により生体内での酸化ストレス亢進が示される。これに対して、RE群では血漿・肝臓のいずれの脂質過酸化度も有意にRC群と比較して上昇が抑制される。このことから、SFの投与により生体内の酸化ストレス亢進が抑制される(図4A・B)。

成果の活用面・留意点

  • ソバスプラウト及びフラボノイドを機能性食品素材として利用するための知見となる。
  • 本試験は小動物を用いた試験結果であり、ヒトでの試験は実施していない。

具体的データ

図1 SF のストレス負荷マウス血漿コルチコステロン量に及ぼす影響

図2 SF のストレス負荷マウス血漿グルコースに及ぼす影響図3 SF のストレス負荷マウス血漿GOT 活性に及ぼす影響

図4 SF のストレス負荷マウス脂質過酸化度(TBARS)に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:寒冷地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
  • 課題ID:311-f
  • 予算区分:食品
  • 研究期間:2005~2006年度
  • 研究担当者:渡辺 満