汎用コンバインとスワースコンディショナを用いた稲わらの乾燥・収集体系

要約

汎用コンバインのこぎ胴から排出される圧砕稲わらは、スワースコンディショナで反転させることで、ウィンドローの状態で迅速に乾燥する。乾燥後はレーキによる集草が不要で、そのままロールベーラで高能率に拾上げ・梱包できる。

  • キーワード:汎用コンバイン、圧砕稲わら、スワースコンディショナ、乾燥促進
  • 担当:東北農研・東北水田輪作研究チーム
  • 代表連絡先:電話019-643-3535
  • 区分:バイオマス、東北農業・基盤技術(作業技術)、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

北東北の稲わら収集作業では、自脱コンバインのノッタ(結束装置)で結束して「立ちわら」状にして乾燥させるのが一般的である。これには、多大な労力が必要であり、乾燥には通常2~3週間を要し、天候によっては乾燥が進まない場合もある。そこで、スクリュー型脱穀機構を有する汎用コンバインで圧砕された稲わら(以後、「圧砕稲わら」という)に着目し、圧砕稲わらとスワースコンディショイナによる反転作業を組み合わせた乾燥収集体系を開発する。

成果の内容・特徴

  • 稲を汎用コンバインで収穫し、排出された稲わらにスワースコンディショナをかけて乾燥促進させ、乾燥後にロールべーラで拾上げ・梱包することで、稲わらの迅速乾燥・収集体系が構築できる(図1)。スワースコンデョショナは、稲わらをピックアップタインで拾い上げ、勢い良く後方の集草板に衝突させることで、ウィンドローの反転作用がある。
  • 汎用コンバインから排出された圧砕稲わらは、降雨が無い条件では稲収穫後2日目に含水率20%台に乾燥する。さらに、これに1日につき午前1回の反転作業を組み合わせることで15%程度まで低下し、稲収穫後2日目に梱包作業が可能となる(図2)。
  • 含水率15%程度まで低下した圧砕稲わらのロールベールの乾物見掛け密度は、飼料用品種の「べこごのみ」では130kg・DM/m3程度と、圧砕しない稲わらとの差はないが、高水分条件では、圧砕の効果により25%程度密度が高まる(図3)。
  • 汎用コンバイン(刈幅2m)を用いて刈高さ15cmで稲刈りすると、作業能率は0.33h/10a、燃料消費は4.1L/10a程度となる。スワースコンディショナ(作業幅1.6m)の作業能率は0.08h/10a、牽引型ロールベーラ(径・幅1m)による拾上げ・梱包の作業能率は0.13h/10a程度である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 汎用コンバインの稲わら排出部にウィンドローワを装着して、クローラによる踏圧を受けない刈株上に圧砕稲わらを排出して迅速に乾燥させる方法は、平成20年度の成果情報(技術・参考)となっている。「汎用コンバインを活用した稲わらの迅速乾燥・収集体系」http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2008/tohoku08-34.html
  • スワースコンディショナは、イギリスT社製SUPER-TED160であり、定価は1,228,500円(税込)である。
  • 稲わらの迅速乾燥・収集のためには、圃場の地耐力の確保が必須であり、乾田直播の導入などで圃場の排水性を高めておく必要がある。本技術は、乾田直播栽培マニュアル(Ver.2)に掲載予定である。

具体的データ

図1汎用コンバインとスワースコンディショナを用いた稲わら収集体系

図2 圧砕稲わらの水分変化 (花巻現地 2010)

図3 ロールベールの乾物見掛け密度

表1 作業能率(花巻現地 2010)

その他

  • 研究課題名:バイオエタノール原料としての資源作物の多収品種の育成と低コスト・多収栽培技術等の開発
  • 中課題整理番号:224a
  • 予算区分:委託プロ(バイオマス)
  • 研究期間:2007~2010年度
  • 研究担当者:大谷隆二、金井源太、天羽弘一、関矢博幸、冠秀昭、押部明徳