ウニ由来インスレーターの植物への利用による導入GUS遺伝子発現の安定化

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要約

動物であるウニ由来のアリルスルファターゼ遺伝子インスレ ーターをGUS遺伝子に連結したキメラ遺伝子をトレニアに導入したところ、GUS活性レベル が上昇した。

  • キーワード:ウニ、アリルスルファターゼ遺伝子、インスレーター
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 育種法研究室
  • 連絡先:059-268-4661
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:バイテク
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

植物に導入された遺伝子(以下、導入遺伝子)の発現レベルについては、形質転換個体ごとに 大きな差があることや植物の生長に伴い不活化されることなどが知 られており、これらの現象が遺伝子組換えによる育種を進める上で大きな障害となっている。 インスレーター(以下INS)は、染色体上において遺伝子発現の 増強や抑制作用を遮断する DNA 配列として報告されており、INSを利用することにより外来遺伝子の発現を安定化させること が期待される。そこで、動物由来のウニのINSを連結した GUS遺伝子をトレニアに導入し、植物体における効果を調査する。

成果の内容・特徴

  • ウニのアリルスルファターゼ遺伝子のINSを CaMV35S-GUS に連結したキメラ遺伝子 A: CaMV35S-GUS (control)、B: A の 5' 上流に INS を連結、C: Aの 5' 上流と 3' 下流に INS を連結 (図1) を持つバイナリープラスミドをアグロバクテリウム法によってトレニア(Torenia fournieri )に導入したところ、INSを有する場合に活性レベルが上昇する傾向が認められ た (図2) 。
  • 動物のウニ由来のINSが植物体における遺伝子の高発現あるいは発現の安定化に有効 であった。

成果の活用面・留意点

  • 植物における導入遺伝子の安定発現に利用できると考えられる。
  • トレニアにおいてGUS遺伝子を用いて得られた結果であり、他の植物種あるいは他の 遺伝子を連結した場合の有効性については未検討である。

具体的データ

図1 ウニのアリルスルファターゼ遺伝子のINSをCaMV36S-GUSに連結したキメラ遺伝子

図2 INS導入個体のGUS活性の分布

その他

  • 研究課題名:導入遺伝子の安定的発現技術の開発
  • 予算区分 :先端技術開発研究[次世代DNA]
  • 研究期間 :平成11年度(平成11~13年)
  • 研究担当者:間竜太郎・岸本早苗・柴田道夫・吉田和哉(奈良先端大)・長屋進吾(奈良 先端大)・新名惇彦(奈良先端大)
  • 発表論文等:トレニアにおける導入遺伝子の発現に対するウニ・インスレーターの効果 育種学研究、 1巻 (別2) 77、1999