機器構成の自動認識機能を持つ温室の遠隔監視ソフトウェア

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要約

開発したソフトウェアはユビキタス環境制御システムの機能を利用し、機器構成の変化を自動認識して監視対象を更新できる。また、機器が発する環境制御に関する情報を収集して可視化し、携帯電話などからも閲覧できるようにインターネットに中継する。さらに、条件を指定して警報メールを送信できる。

  • キーワード:ユビキタス、環境制御、温室監視、インターネット、警報メール
  • 担当:野菜茶研・高収益施設野菜研究チーム
  • 連絡先:電話0569-72-1564、電子メールkurosaki@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜栽培生理、共通基盤・作業技術、共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

これまでも温室の遠隔監視を行えるシステムは市販されているが、各社が独自のハードウェアを用いており、高コストで柔軟性に欠けるものであった。しかし、機器間の通信や制御方法を共通規格化するユビキタス環境制御システム(UECS)の開発によって、低コストに多くの機器をネットワーク化することが可能となり、情報の共有や機器構成の変更も容易になった。そこで、多くの接続機器と膨大な情報を栽培管理に有効に活用するために、一般的なパソコンを利用して情報の可視化と記録、警報の発信などを行うことができ、機器構成の変更にも柔軟に対応できる温室の遠隔監視ソフトウェアを開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発したソフトウェアは、UECSのネットワークに接続された常時稼働するパソコン上でサーバとして機能し、UECSに対応した気象観測装置や天窓コントローラ、暖房機など、各種接続機器の発信する情報を収集するとともに、必要性の高い情報を抽出してインターネットに中継する(図1)。
  • UECSのネットワーク上を流通する現在の気象状況や機器の動作状況などの情報をリアルタイムに可視化し、これらのデータをログファイルに記録できる(図2)。新たな機器が追加された場合、機器構成の変化を自動認識して監視対象に加えることができる。
  • 24時間分のデータをグラフ化したものを定期的にFTP(File Transfer Protocol)でアップロードできる。外部から閲覧可能なサーバ上にアップロードすれば常時、携帯電話などから温室内環境や各機器の作動状況に関するデータを閲覧できる(図3)。
  • 機器が発信するエラー情報を検出すると指定した宛先へ警報メールを送信できる(図3)。また、気温の低下や湿度の上昇、天窓の開閉状況など、特定の環境条件や機器の動作状況を指定して警報を発生させることもできる。このメールは携帯電話からも閲覧できる形式で配信される。

成果の活用面・留意点

  • 本ソフトウェアは希望者に対してメールなどで配布する。
  • 本ソフトウェアはUECS対応機器が導入された温室で活用することを前提に開発されている。
  • メールの送信やWebデータ中継機能を使用するにはインターネット回線を整備する必要があるが、一般の家庭用プロバイダのサービスも活用できる。
  • 本ソフトウェアは最大で512種類の情報を扱える。
  • 動作のための推奨環境はWindows2000/XP以降、PentiumIII 800MHz以上、メモリ256MByte以上である。
  • UECSに関する詳細な情報はhttp://www.uecs.info/および、昨年度の成果情報「温室用の自律分散型ユビキタス環境制御システムの構築」を参照すること。

具体的データ

図1 温室監視ソフトウェアの概念図

図2 ソフトウェアの実行画面

図3 警報メール(左)と環境データのグラフ表示(右)

その他

  • 研究課題名:トマトを中心とした高収益施設生産のための多収、低コスト及び省力化技術の開発
  • 課題ID:213a
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2006年度
  • 研究担当者:黒崎秀仁、安場健一郎、林泰正((有)エヌアイシステム)、星岳彦(東海大開発工)、高市益行、
    大森弘美