プラントアクティベータによるチャの病害抵抗性誘導

要約

プラントアクティベータであるチアジニルとパン酵母抽出物製剤をチャに葉面散布すると、チャ炭疽病菌とチャ輪斑病菌に対する病害抵抗性が誘導される。また、圃場のチャ新芽に散布すると、収量や化学成分に影響を与えることなく、炭疽病発生を抑制する。

  • キーワード:チャ、プラントアクティベータ、病害抵抗性、チャ炭疽病、チャ輪斑病
  • 担当:野菜茶研・茶IPM研究チーム
  • 連絡先:電話0993-76-2126、電子メールgohteny@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業、共通基盤・病害虫
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

プラントアクティベータは植物に持続的かつ全身的な病害抵抗性を誘導して、病害防除効果を示す薬剤であり、環境負荷も小さく、耐性菌発生が無いという特徴を持つ。わが国の緑茶品種の多くは、チャ炭疽病ないしはチャ輪斑病に罹病性であるため、化学合成殺菌剤が多用されてきたが、近年、消費者の食品の安全性に対する意識の高まりやポジティブリスト制導入等の社会情勢の変化により、チャへの農薬の使用量・回数を削減する病害防除技術が必要とされている。そこで、環境保全型チャ病害防除へのプラントアクティベータの応用の可能性を明らかにするため、他の植物で効果の認められたチアジニルとパン酵母抽出物製剤のチャにおける病害抵抗性誘導効果を評価する。

成果の内容・特徴

  • 成葉が2枚付いたチャ切り枝の下位葉にチアジニルまたはパン酵母抽出物製剤(表1)を葉面散布すると、その上位葉でもチャ輪斑病の病斑拡大が抑制され、全身的な病害抵抗性が誘導される(図1)。
  • 圃場のチャ成葉にチアジニルまたはパン酵母抽出物製剤を葉面散布処理すると、チャ炭疽病菌もしくはチャ輪斑病菌の付傷接種による病斑拡大が抑制され、その効果は長期間持続し、葉面散布30日後でも認められる(表2)。
  • 圃場における二番茶期のチャ新芽にチアジニルまたはパン酵母抽出物製剤を処理すると、TPN水和剤700倍に比較するとやや効果が劣るものの、炭疽病発生が抑制され、2回散布しても収量および化学成分に対する影響は認められない(表3)。

成果の活用面・留意点

  • チアジニルは殺菌剤であるが、チャには登録が無いことから、チャに対する使用は試験研究目的に限定される。
  • 本試験に供試したパン酵母抽出物製剤は(株)アグリボから「アグリボEXR」として肥料登録(登録番号 生第83628号)されているが、病害防除を目的とした使用はできない。

具体的データ

表1 供試プラントアクティベータの特徴

図1「やぶきた」切り枝下位葉へのプラントアクティベータ処理による上位葉への病害抵抗性誘導

表2「やぶきた」成葉へのプラントアクティベータ葉面散布処理によるチャ炭疽病およびチャ輪斑病に対する抵抗性誘導

表3 「やぶきた」二番茶新芽へのプラントアクティベータ処理が炭疽病自然発生、収量および化学成分に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:生物機能等の利用による茶の病害虫防除技術の開発及び抵抗性系統の開発
  • 課題ID:214-l
  • 予算区分:生物機能
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:吉田克志、荻野暁子、山田憲吾、園田亮一