茶園用防霜ファンの節電型制御法

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要約

開発した茶園用防霜ファンの制御法は、茶園上層のファン設置高の気温と樹冠面付近の気温との差が小さく稼働の必要がない場合には、ファンを停止させる方法である。必要時のみ稼働させることで、消費電力量を削減できる。

  • キーワード:省エネルギー、防霜ファン、チャ、制御、気温
  • 担当:野菜茶研・茶生産省力技術研究チーム
  • 代表連絡先:電話0547-45-4101
  • 区分:野菜茶業・茶業、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

茶栽培において、晩霜による霜害は収穫期の遅れや減収を招くため、防霜ファンによる霜害防止対策が広く講じられている。従来の制御は樹冠面付近の気温により行われ、茶園上層のファン設置高の気温が樹冠面付近に比べ高くない場合でも稼動する。そのような場合の多くは、自然風が十分であったり放射冷却が弱かったりすることが多く、不必要な稼動であると考えられる。そこで、茶園上層のファン設置高の気温を制御に反映させた節電型のファン制御法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本制御法は、樹冠面付近の気温に加え、樹冠面付近と茶園上層のファン設置高との気温差の情報をファン稼働のための制御指標とする。ファン設置高の気温が樹冠面付近の気温より設定値以上高くないと防霜ファンは稼働しない(図1)。
  • 防霜ファンは逆転層内の上方の暖かい空気と樹冠面付近の冷たい空気を混合し均温化することにより効果を発揮するとされる。しかし、平均風速がおよそ3m/s を超える場合には、高所(4.8m)と低所(0.5m)の気温差は1°C 以下であり、既に均温化されている(図2)。
  • また、防霜ファンは送風により冷えた茶樹を直接温めるとされるが、自然風の風速がおよそ3m/s以上ある場合は、防霜ファンの運転に対応した葉温上昇効果は認められない。一方、自然風の風速がおよそ3m/s以下の場合は、葉温上昇効果が認められる(図3)。
  • 試験運転を行った結果では、本制御により消費電力量を大幅に削減できる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 試験運転期間中の2009年3月第6半旬に最低気温が低い日が続き、近傍の防霜ファンを設置していない茶園では新芽の褐変が観察されたが、試験園では認められなかった。
  • 温度設定は設置場所の状況に応じて行う必要があり、設置状況や設定条件によって、消費電力量の削減量および削減率は異なる。

具体的データ

図1 茶園用防霜ファンの節電型制御法

図2 風速が地上0.5m(低所)と4.8m(高所)との気温差に及ぼす影響

図3 防霜ファンの稼働と風速とによる樹冠面葉温の変化

表1 節電型制御法による消費電力量と削減率

その他

  • 研究課題名:耐凍性評価に応じた防霜ファンの省電力制御技術の開発と現地実証
  • 中課題整理番号:223b
  • 予算区分:基盤、委託プロ(温暖化)
  • 研究期間:2004~2009年度
  • 研究担当者:荒木琢也、松尾喜義、深山大介、角川修、荒木慎介(フルタ電機株式会社)
  • 発表論文等:荒木ら(2008)茶業研究報告、106:15-20