高アントシアニン茶「サンルージュ」を利用したエディブルティードレッシングの開発

要約

「サンルージュ」緑茶ピューレを3%添加し、pH3.0でアントシアニンを発色させたエディブルティードレッシングの開発により、アントシアニンおよび脂溶性ビタミンを多く含む茶葉を丸ごと摂取することができる。

  • キーワード:「サンルージュ」、アントシアニン、ピューレ、エディブルティー
  • 担当:食品機能性・生体防御利用技術
  • 代表連絡先:電話 050-3533-3861
  • 研究所名:野菜茶業研究所・茶業研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

高アントシアニン茶「サンルージュ」の総アントシアニン含有量は、三番茶ならびに第1葉、第2葉で多く、「サンルージュ」緑茶熱水抽出液および茶葉自体に含有されるアントシアニンは、ヒト神経細胞アセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を有意に抑制することをこれまでに明らかにしてきた。さらに、「サンルージュ」の普及をはかるため、「サンルージュ」茶葉全てを使用したピューレを用いたドレッシングの開発を行う。

成果の内容・特徴

  • 「サンルージュ」のアントシアニンを有効活用し、脂溶性ビタミンを多く含む茶葉を丸ごと摂取するため、荒茶を加水処理、過熱蒸気処理(240°C、15分)、遠心ミキサー処理(600rpm、180秒)して、ピューレを製造する(歩留まり;325%)。図1に示すように、荒茶からピューレ製造する際の茶葉中のアントシアニン含有量の減少率は8.0%である。
  • モデルドレッシングのpHによる発色試験から、鮮やかな赤味を呈するのはpH3.0-3.4である(図2)。
  • 官能評価により、渋味のバランスが良い「サンルージュ」ピューレの配合は3%である。本ピューレを用いたエディブルティードレッシングの開発により、アントシアニンおよび脂溶性ビタミンを多く含む茶葉を丸ごと摂取することができる(図3)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:一般消費者(小売店)
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:普及見込み(約10,000本(2015年12月))、全国
  • その他: 「サンルージュ」の栽培面積は約11ha (2014年3月)である。また、本製品は、ネピュレ株式会社及びフンドーキン醤油株式会社と共同で開発し、2014年3月から発売を開始し、2015年1月末現在で約8,900本出荷された。
    「サンルージュ」のアントシアニン含有量と生理活性に関する成果情報: http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2011/310c0_10_07.html

具体的データ

図1~3

その他

  • 中課題名:生体防御作用に関する健康機能性解明と有効利用技術の開発
  • 中課題整理番号:310c0
  • 予算区分:交付金、競争的資金(農食事業)
  • 研究期間:2011~2014年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、根角厚司、物部真奈美、白井展也、堀江秀樹、牛島暢彦(フンドーキン醤油株式会社)、八島功治(ネピュレ株式会社)
  • 発表論文等:
    1) Maeda-Yamamoto M. et al. (2012) J. Sci. Food Agric.92: 2379-2386
    2) 山本ら「茶葉抽出物、飲食品」特願2012-235601(2012年10月25日)