温州みかんの樹冠下マルチによる果実品質の向上

要約

傾斜地みかん園に対し、夏季から収穫期まで樹冠下のみに多孔質シートマルチすることにより、土壌温度の低下や、潅水後の土壌水分の維持か図られ、ひいては光合成能の増加となり、収量を低下させることなく果実品質の向上か図られる。
  • 担当:四国農業試験場・作物開発部・果樹栽培研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:果樹
  • 専門:栽培
  • 対象:果樹類
  • 分類:指導

背景・ねらい

近年、カンキツ産地では高品質・差別化商品生産を自的に、園全体に施すビニールマルチ栽培か普及している。この場合、資材費用、敷く手間、樹勢低下などの問題が生じ、急傾斜地でこれを行うと、緩傾斜地とば比較にならない程の手間がかかり、かつ排水対策等の問題も大きく生じてくる。そこで、急傾斜地でも比較的手軽に取り組める樹冠下マルチ栽培法を検討する。

成果の内容・特徴

  • 多孔質シートをマルチ処理してシート下に潅水すると土壌水分か高く維持される。また、地表面温度や、地中温度も低下し、樹冠内照度は1.5mの高さまでも明るくなり、光合成能か2割以上高くなる(表1)。
  • 南柑20号の傾斜地園(傾斜度約25°)では、園内作業道を造成し、多孔質シート(白色)を梅雨明け後、樹冠下程度に簡易マルチすることで、果皮の赤みか強く、糖度か高く、クエン酸は適当な果実か生産される。また、園内作業道を造成するだけでも高品質果になる。なお、収量的には三者間で差がない(表2)。
  • 杉山温州の傾斜地園(傾斜度約25°)において、多孔質シート(白色)を簡易マルチすると、収量か安定し着色か良く糖度は高めで、クエン酸は低い果実か生産される。しかし、マルチ資材に黒色ポリフィルムを使った場合、2年目の収量が減少し(樹勢か衰弱化)、着色か劣り、糖度は高いがクエン酸も高くなる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は急傾斜地のみかん園で適用可能ではあるか、作業性の面から園内に作業道を造成し、1列植えとすることか望ましく、適宜灌水ができることも安定的な高品質果実生産につながる。

具体的データ

表1.マルチ処理及び園内作業道の造成が土壌水分(%)及び光合成等に及ぼす影響

 

表2.南柑20号に対するマルチ及び園内作業道造成の効果

 

表3.杉山温州に対するマルチ効果

その他

  • 研究課題名:傾斜地大規模カンキツ作における快適省力・高品質生産システムの確立
    (高品質安定生産のためのマルチ栽培及び桔実法の改良と適用)
  • 予算区分:実用化促進(地域総合)
  • 研究期間:平成9年度(平成5年~9年)
  • 研究担当者:内田 誠・瀧下文孝・清水徳朗
  • 発表論文等:ウンシュウミカンへの樹冠下マルチ栽培効果の実証 園学雑、67(別1)、1998