農産物直売所における低コストPOS導入効果

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要約

専門店向け低価格POSを小規模農産物直売所に導入し、出荷者への精算業務の効率化等の運営改善効果や個人出荷野菜売上増加の効果を得ている。精算業務の煩雑さが問題となっている直売所では、低コストで導入できるPOSを導入するメリットがある。

  • キーワード:農産物直売所、低コストPOS、運営改善効果
  • 担当:近中四農研・総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:084-923-4100
  • 区分:共通基盤・経営、総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年大型化が進む農産物直売所では、レジの迅速化、精算業務の効率化等を目的とした、POS(販売時点管理システム)の導入が進んでいる。しかしPOSソフトウェアが高額なため、年間売上が1億円に満たない規模の直売所ではPOS導入が難しいとされている。そこで低コストでPOS導入ができれば、中小規模の直売所でもPOS導入による運営改善効果がみられることを、年間売上3千万円前後の直売所における現地実証試験から明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 今回使用したPOSシステム(ビジコム社製「BC-POS」)は、本体に市販のWindowsパソコンを使用し、ソフトをレンタル化することで導入費用を低く抑えている。機能的にはPOS専用レジと変わらず、最初に操作を覚えれば、一般的なレジスターを使い慣れている者なら問題なく扱える。
  • またリース利用であれば、表1に示したように月額2万円未満の負担で利用できる。大量の伝票処理や検品のためにパート雇用を検討している場合、コスト面だけでみてもパート雇用の代わりにPOSを導入するメリットがある。
  • POSソフトウェアには、高齢者でも貼り間違いをしないように、文字情報を加えたバーコードラベルを作成できる機能を付け加えた。
  • 図に示すように「出荷者からの一言」など自由に文字情報を追加し、配列を変えることが出来ることで、消費者に伝える情報の自由度が高まるように改良した。
  • 導入3ヶ月後にバーコード使用感について確認調査をしたところ、表2のように他の商品ラベルを貼ってしまうといった、バーコードラベルの貼り間違いはほとんど無い。
  • また出荷者の半数近くは現在の十分類よりも細かい商品分類、たとえば「野菜」よりも「ホウレンソウ」「トマト」といった細分化されたラベルの貼り分けにも対応出来ると回答している。商品分類の細分化により、一層販売計画に使えるデータが収集できる。
  • 今回POSを導入した直売所の場合、売上が多い土日の精算業務に充てるために休業していた月曜日も、直売所を営業出来るようになり、売上を一層伸ばしている。すなわち低コストPOSでも直売所にとって十分な運営改善効果をもたらす。

成果の活用面・留意点

  • 本POSシステムは中小規模直売所への導入を想定したものである。

具体的データ

表1 パート雇用とPOS導入の比較試算

 

表2 品目数別にみた出荷者のバーコード使用感

 

図 バーコードラベルの見本

その他

  • 研究課題名:新流通チャネルの管理手法と収益性
  • 予算区分:中山間水田複合生産
  • 研究期間:2000~2001年度
  • 研究担当者:飯坂正弘、藤森英樹、高橋太一、櫻井清一(千葉大学)
  • 発表論文等:1)飯坂(2001)農業および園芸76(6):641-647
                      2)飯坂(2001)農業および園芸76(7):749-755
                      3)全国農業新聞中国版2001年11月16日付「データ分析で出荷-バーコード導入し成果-」