広報活動報告詳細

2012年度 第2回農研機構産学官連携交流セミナー報告

情報公開日:2012年9月18日 (火曜日)

開催チラシ[PDF:325.4KB]

開催日時・会場

日時:2012年7月25日(水曜日)

会場:日本教育会館(東京千代田区)707号会議室

気象変動による農業被害を予測!軽減!~新たな対策技術のご提案~

農研機構主催の2012年度第2回農研機構産学官連携交流セミナーは、「気象変動による農業被害を予測!軽減!~新たな対策技術のご提案~」をテーマに開催いたしました。

気象災害、そして中・長期的には気象変動に対応した農業技術開発が必要な中で、今回のセミナーでは、気象変動による農業被害を予測したり被害を回避するなど、農研機構が開発した新たな対策技術をご紹介いたしました。

当日は、農業共済組合、JA、普及関係機関、米卸業者、農機メーカー、IT関連企業、県等の研究機関、新聞、出版業者など幅広い分野から41名のご参加をいただきました。

農業共済組合、JA、普及関係機関、米卸業者、IT関連企業、農機メーカー、県等の研究機関、新聞、出版業者など幅広い分野から、多くの皆様にご参集いただきました。

内容

気象予測データを利用した水稲栽培管理警戒情報システムによる気象変動対策

Google Mapによる 水稲栽培管理警戒情報表示東北農業研究センター 生産環境研究領域 主任研究員 小林 隆が「気象予測データを利用した水稲栽培管理警戒情報システムによる気象変動対策」と題して、気象予測データの利用により水稲栽培における生育予測情報や被害予測情報等を提供するシステムについて説明しました。

北日本では、近年夏季気温の年次変動が大きくなっており、水稲の冷害・高温障害、病害発生など、農業気象被害の危険性が高まっているとのことでした。そこで、気象予測データを利用して、ユーザー圃場位置、品種、栽培履歴に対応した水稲の生育状況、冷害・高温障害、病害発生の予測情報を提供するほか、農業気象災害等の危険性が予測された場合には警戒情報メールを自動発信できるシステムを開発したとの説明がありました。また、これらの情報はインターネットで広く利用しているGoogleマップ上で提供されるほか、携帯電話からも利用できるとの説明がありました。システム利用者からの評価も高いことから、今後はシステム適用範囲を東北地方から全国に拡大していく予定であるとのことでした。

収穫前の玄米横断面から乳心白粒の発生を推定する装置の開発

乳白粒発生予測装置 装置による玄米横断面の撮像九州沖縄農業研究センター 水田作・園芸研究領域 上席研究員 森田 敏が「収穫前の玄米横断面から乳心白粒の発生を推定する装置の開発」と題して、収穫前の玄米横断面の画像解析により収穫時の乳心白粒の発生程度を推定する装置について説明しました。

近年、水稲登熟期における高温や日照不足などの不良気象条件によって、乳心白粒の発生などによる玄米品質の低下が頻発しているとのことでした。収穫前に乳心白粒の発生を予測する手法がないため農業共済の被害申請に間に合わず経済的損失に至る恐れがあるとのことでした。そこで、収穫前の玄米横断面の画像解析により乳心白粒の発生を予測する装置を株式会社ケット科学研究所と共同で開発したとの紹介がありました。本装置は100粒の玄米を簡易に切断する機器、その切断面をスキャナーで撮像する機器、およびそこで得られた画像の白濁部の解析から乳心白粒の発生を予測するプログラムソフトで構成されているとの説明がありました。本装置を用いると収穫前約10日の時点で乳心白粒の多発を推定できるため、農業共済の被害申告や共乾施設への仕分け入荷への活用が期待されるとのことでした。

灌漑主体流域の農地水利用に与える気候変動影響の定量的評価法

農地水利用に与える気候変動影響の定量的評価法の構成農村工学研究所 水利工学研究領域 特別研究員 工藤 亮治が「灌漑主体流域の農地水利用に与える気候変動影響の定量的評価法」と題して、気候変動が農業用水や農業用施設に及ぼす影響を高精度に定量評価する手法について説明しました。

全世界的に気候変動による降水パターンの変化による影響が懸念される中、日本では降水量の変動幅が年々増大し、特に少雨年における渇水被害が深刻になっているとのことでした。将来の水資源・流域水循環を評価するため、全球気候モデルが予測する気温、降水量等の変化および農地水利用過程を考慮した水循環モデルを利用して、農業用水や農業用施設において定量的に気象変動の影響を評価する手法を開発したと説明がありました。また、本手法を豪雪地帯に属し灌漑主体の流域である新潟県の関川流域に適用した具体的な評価事例について紹介しました。本評価手法の利用場面として、例えば、行政機関(国、地方自治体)が気候変動を考慮して灌漑計画や水利用計画を策定する際に使用できるとのことでした。

ウンシュウミカンの浮皮を軽減する植物ホルモン剤の利用技術

浮皮果(左)と正常果(右)果樹研究所 カンキツ研究領域 上席研究員 生駒 吉識 が「ウンシュウミカンの浮皮を軽減する植物ホルモン剤の利用技術」と題して、ウンシュウミカンの栽培において、植物ホルモン剤のジベレリンとプロヒドロジャスモンを混合して散布することなどにより「浮皮」を軽減する技術について説明しました。

温暖化の影響として、ウンシュウミカンの「浮皮」(果皮と果肉が分離する症状)の多発が指摘されており、この症状に起因する腐敗の増加、食味の低下等の問題が生じているとのことでした。そこで、植物ホルモン剤のジベレリンとプロヒドロジャスモンを9月に混合して散布する新しい浮皮軽減技術について、効果的な利用条件を検討し、結実量調節(中程度)や透湿性シートによる土壌被覆との組み合わせが有効であることを明らかにしたとの説明がありました。また、この浮皮軽減技術において、植物ホルモン剤の散布濃度や時期を工夫する新たな取り組みについても紹介がありました。今後は、本技術の普及促進を図りつつ、新たな濃度の農薬登録やその効果の確認のために農薬製造・販売メーカーや公立試験研究機関との連携を強化したいとのことでした。
浮皮を軽減する貯蔵ウンシュウミカン用 の植物ホルモン剤の利用法

 

セミナー終了後、研究成果を紹介したパネルでの説明や、収穫前の玄米横断面から乳心白粒の発生を推定する装置などの展示・実演を行い、参加者の皆さまと個別に質疑応答・意見交換を行いました。参加者の皆様と研究者との貴重な交流ができ、有意義なコミュニケーションタイムとなりました。

コミュニケーションタイム1コミュニケーションタイム2

農研機構では、今後とも皆様との連携強化を目指し、様々なテーマでセミナーを開催して参ります。

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