広報活動報告詳細

2012年度 第3回農研機構産学官連携交流セミナー報告

情報公開日:2012年10月 9日 (火曜日)

開催チラシ[PDF:240.1KB]

開催日時・会場

日時:2012年9月25日(火曜日)

会場:日本教育会館(東京千代田区)707号会議室

農作物や牛乳の生産・調製における省エネルギー化対策

農研機構主催の2012年度第3回農研機構産学官連携交流セミナーは、「農作物や牛乳の生産・調製における省エネルギー化対策」をテーマに開催いたしました。農研機構で開発をすすめている省エネルギー技術から、酪農、施設園芸、ネギや米の生産や調製における省エネルギー化対策をご紹介いたしました。当日は、農業機械メーカー、農業資材メーカー、関連団体、研究機関、新聞、業界誌関連などから26名のご参加をいただきました。

農業機械メーカー、農業資材メーカー、関連団体、研究機関、新聞、 業界誌関連などから26名のご参加をいただきました。

内容

高温水が生成できるCO2ヒートポンプによる生乳のプレクーリングシステム

畜産草地研究所 畜産環境研究領域 主任研究員 石田三佳が「高温水が生成できるCO2ヒートポンプによる生乳のプレクーリングシステム」と題して、生乳の冷却時に回収した廃熱で高温水をつくり、洗浄水として利用する技術について紹介しました。概要は以下の通りです。

開発したプレクーリングシステム畜産廃棄系バイオマスの処理・利用技術と再生可能エネルギー活用技術の開発など、エネルギー自給型家畜飼養管理を実現する酪農経営を目指し、メーカーと共同で、「CO2ヒートポンプを用いて氷生成時・生乳冷却時の廃(排)熱を回収し、洗浄に利用可能な約80°Cの高温水を生成できる生乳用クーリングシステム」を開発しました。

開発システムは、CO2ヒートポンプ、アイスビルダ、プレートクーラー、貯湯タンクから構成されます。本システムを民間牧場に導入し実証試験を行いました。従来システムと比較すると、本システムの導入により、エネルギー消費量で約4割、ランニングコストで約2割、CO2排出量で約3割を削減できることが明らかになりました。本システムの利用場面を広げることで、イニシャルコストの早期回収、さらなるランニングコスト低減が可能であり、生成した高温水をさまざまな分野で利用できるよう検討を進めています。

省エネルギー効果の高いヒートポンプと温風暖房機のハイブリッド運転方式

野菜茶業研究所 野菜生産技術研究領域 主任研究員 安場健一郎が「省エネルギー効果の高いヒートポンプと温風暖房機のハイブリッド運転方式」と題して、主暖房にヒートポンプ、補助暖房に温風暖房機を利用する温室暖房の自動制御技術について紹介しました。概要は以下の通りです。

ヒートポンプと温風暖房機のハイブリッド運転施設園芸におけるヒートポンプの利用が増えています。ヒートポンプを利用することで、省エネルギー効果の高い温室の加温が可能です。しかし、ヒートポンプのみで加温を行うと初期投資のコストが高くなります。そこで、燃焼式の暖房機をヒートポンプの補助として用いるハイブリッド暖房方式について、経済的な試算を行い、省エネルギー効果を検証しました。

暖房負荷の異なる盛岡、名古屋、宮崎のいずれでも、ハイブリッド暖房方式は、慣行法と比較して運転経費、CO2排出量を削減することができます。また、ハイブリッド暖房方式では、寒い地域ほどハイブリッド運転を行うことが多くなるので、削減できる運転経費は大きくなります。このような省エネ型機器の利用だけでなく、施設の断熱性・機密性を高める技術や、暖房機の熱効率を向上させる技術などを組合せ、生産性を損なわない省エネルギー技術の確立を目指しています。

回転ノズルを搭載した省エネルギー型長ネギ調製機

生物系特定産業技術研究支援センター 園芸工学研究部 主任研究員 貝沼秀夫が「皮むきと太さ判別が同時に行える長ネギ調製機」と題して、長ネギの皮むき作業における電力消費量を大幅に節減できる調製機の開発について説明しました。概要は以下の通りです。

回転ノズルを搭載した省エネ型長ネギ調製機長ネギの生産作業では、労働時間の約5割を収穫後の調製(根切り・皮むき)、出荷(選別・結束)作業が占めます。従来の圧縮空気を利用した皮むき調製機は、圧縮空気固定ノズルから噴射される圧力分布の範囲が狭く、作業者自らが注意を払い、空気のネギへの作用を調節する必要があります。また、選別作業は、ネギの太さを目視で判別することによって行われています。

そこで、圧縮空気を噴射する樹脂製チューブがラッパ状のガイド内壁に沿って回転することで、圧縮空気を長ネギ表面の広範囲に作用させることができる皮むき用回転ノズルを開発しました。さらに、皮むきノズルの後ろにファイバセンサを搭載し、皮むき作業と同時にネギの太さ判別を同時に行える調製機を開発しました。回転ノズルを用いることで、慣行固定ノズルと比較して、皮むき作業能率は最大30%向上し、単位圧縮空気当たりの皮むき処理本数は最大2.2倍に増加しました。結果として、電力消費量を最大1/3に節減できました。また、熟練者とほぼ同程度の精度で、太さを判別できました。開発機は2011年4月より市販化されています(太さ選別部分は除く)。

消費エネルギーの無駄を削減する循環式穀物乾燥機の適正作業

生物系特定産業技術研究支援センター 生産システム研究部 主任研究員 日高靖之が「消費エネルギーの無駄を削減する循環式穀物乾燥機の適正作業」と題して、多くのエネルギー投入が必要となる籾の乾燥作業について、作業条件や保守点検など、使用者側の対策による省エネルギー対策について説明しました。概要は以下の通りです。

循環式穀物乾燥機の適正作業稲生産で排出されるCO2排出量のうち、45%が乾燥・調製時に排出されます。循環式穀物乾燥機では、満量張込みの奨励、過乾燥の防止、排気ダクトの保守点検等の対策を講じることでエネルギー消費量(灯油消費量+電力消費量)、CO2排出量を節減できるとされており、これらの対策による効果を数値で示し、使用者に的確な情報を示す必要があります。

循環式乾燥機を用いた乾燥作業では、荷受け時の籾水分、張込量、設定停止水分、排気の吸引はエネルギー消費を増加させる作業要因となります。そこで、同じ型式の乾燥機を用い、運転条件の違いによるエネルギー消費量(穀物水分1kgの乾減に要するエネルギー)の変化の程度を調査しました。 その結果から、1)乾燥機には満量張り込むこと、2)設定を確認し、過乾燥は防ぐこと、3)排気が循環しないようにダクトの点検を行うこと、が重要であり、使用者がこれらの対策を講じることで、20~60%のエネルギーの損失を未然に防ぐことができます。これら情報は、社団法人日本農業機械化協会編の「農業機械の省エネ利用マニュアル-平成22年度改訂版」に公開しています。

セミナー終了後には、研究成果を紹介したパネル、実物展示や導入現場の映像をご覧頂きながら、参加者の皆さまと個別に質疑応答・意見交換を行いました。参加者の皆様と研究者との貴重な交流ができ、有意義なコミュニケーションタイムとなりました。

コミュニケーションタイム

農研機構では、今後とも皆様との連携強化を目指し、様々なテーマでセミナーを開催して参ります。

農研機構では、新たなアグリビジネス創出を目指している産業界、農業関係者などの方々からネットワーク会員を募集しております。会員の皆様には、農研機構のセミナーやイベント等の開催案内、最新の研究成果(新品種・新技術等の知的財産)や最新の話題をメールマガジンでお届けしています。入会費や年会費はありません。どうぞ、これを機会に「農研機構 産学官連携ネットワーク」にご加入ください。

法人番号 7050005005207