広報活動報告詳細

2012年度 第5回農研機構産学官連携交流セミナー報告

情報公開日:2013年3月25日 (月曜日)

開催チラシ[PDF:379.7KB]

開催日時・会場

日時:2013年2月19日(火曜日)

会場:東京国際フォーラム 地下2階 展示ホール セミナー室

多様なニーズにこたえる農研機構発おすすめ新品種

農研機構主催の2012年度第5回農研機構産学官連携交流セミナーは、JAグループが行う第7回JAグループ国産農畜産物商談会と併せて開催され、「多様なニーズにこたえる農研機構発おすすめ新品種」と題して、農研機構が近年育成した新品種の数々をご紹介いたしました。当日は、生産団体、流通業、小売業、食品加工メーカー、農業資材メーカー、新聞社、行政関係などから75名のご参加をいただきました。

生産団体、流通業、小売業、食品加工メーカー、農業資材メーカー、新聞社、 行政関係などから75名のご参加をいただきました。

内容

用途いろいろジャガイモの新品種

用途いろいろジャガイモの新品種北海道農業研究センター 畑作研究領域 上席研究員 田宮誠司が「用途いろいろジャガイモの新品種」と題して、食べておいしく、作りやすいジャガイモ新品種について紹介しました。概要は以下の通りです。

本格的な栽培が始まった新品種「はるか」は、綺麗な白肉で、大変食味が良く、家庭用としてもいろいろなメニューに使えますが、食品加工用としてもサラダ、コロッケ、チルド製品などに適性があります。また、ジャガイモシスト線虫抵抗性がある等病気に強いため栽培しやすく、男爵薯よりも収益を2割上げることができます。

「ノーザンルビー」は「インカレッド」に比べ色むらがないきれいな赤色の肉色になり、規格内収量は約3割増えました。

「キタムラサキ」は「インカパープル」に比べ色むらが少ない肉色になり、収量は約4割増えました。

「シャドークイーン」は「インカパープル」に比べアントシアニン含量が高く、食味も向上しています。

さらに、栽培が始まったばかりの新品種「ピルカ」は長卵形で目が浅く、皮がむきやすいので調理が楽です。食味はメークインをやや上回り、色は美しい黄色です。煮くずれが少ないので、煮物料理に向きます。また、ジャガイモシスト線虫抵抗性があり、男爵薯やメークインに比べ、収量が多いです。平成23年から一般に栽培が始まった期待の新品種です。

美味しい青果用および干しいも加工用サツマイモ新品種

作物研究所 畑作物研究領域 上席研究員 片山健二が「美味しい青果用および干しいも加工用サツマイモ新品種」と題して、農研機構が近年育成しました青果用および干しいも加工用サツマイモ新品種について紹介しました。概要は以下の通りです。

平成19年に育成された青果用品種「べにはるか」は、蒸しいもの甘味が強く、ねっとりした肉質で良食味です。焼きいもに最適で、お菓子や料理の素材に向き、焼酎や干しいもにも利用できます。また、いもの外観も良好、多収です。九州南部、千葉、茨城、新潟、静岡などで生産が拡大し、本年度の栽培面積は500haを超えるといわれています。

平成24年に育成された青果用新品種「あいこまち」は、蒸しいもの糖度が高く良食味で、肉質は中~やや粉質で調理後の黒変が少ないため、いも菓子類への加工にも適します。また、いもの外観が良く病虫害抵抗性に優れます。「あいこまち」は平成24年5月に品種登録を出願し、平成25年の春、民間種苗会社を通じて種苗が販売される予定です。

平成24年に育成された干しいも加工用新品種「ほしこがね」は、干しいもの外観や食味品質が優れ、シロタ障害がほとんど発生しません。また、多収の普及品種「タマユタカ」に近い収量があり多収です。「ほしこがね」は平成24年3月に品種登録を出願し、茨城県ひたちなか市を中心とした干しいも産地で栽培が見込まれています。

べにはるかの紹介あいこまちの紹介ほしこがねの紹介

 

和菓子や水産練り製品の食品製造に役立つ!でん粉用サツマイモ「こなみずき」

新規なでん粉特性を持つ「こなみずき」九州沖縄農業研究センター 畑作研究領域 上席研究員 吉永優が「和菓子や水産練り製品の食品製造に役立つ!でん粉用サツマイモ「こなみずき」」と題して、サツマイモでん粉の加工食品原料への用途転換を促進する新品種「こなみずき」について紹介しました。概要は以下の通りです。

サツマイモでん粉は、その大部分が異性化糖などの糖化用に使われ、菓子類、春雨などの食品用にはある程度しか使われず、用途が限られていました。また、でん粉の特徴が少なく、コスト面では安価な輸入でん粉に対する競争力がないことが課題でした。

そこで、高品質で付加価値の高いサツマイモでん粉により食品用の需要を拡大するために、従来品種より約20°C低い温度(50°Cくらい)で糊化するでん粉を含む青果用品種「クイックスイート」が育成されました。ユニークなでん粉の糊化特性が注目されましたが、でん粉収量が低い、萌芽性やでん粉白度が劣るといった問題点がありました。これらを改良した「こなみずき」はでん粉用の主力品種「シロユタカ」と同程度のでん粉収量があります。また、「クイックスイート」と同様の低温糊化性を有しており、その糊化でん粉を冷蔵保存してもゲルの離水が少なく、保水性と柔らかさを維持できます。この耐老化性に優れた「こなみずき」のでん粉は、わらび餅やくず餅などの和菓子の原料に最適であり、品質の長期保持に役立ちます。また、さつまあげ等の水産練り製品の食感改良剤としても利用できることから、「こなみずき」のでん粉は食品製造に役立つでん粉として普及が期待されています。

農研機構生まれの野菜パイオニア品種

桃の甘~い香りの新タイプのイチゴ「桃薫」野菜茶業研究所 野菜育種・ゲノム研究領域 上席研究員 野口裕司が「農研機構生まれの野菜パイオニア品種」と題して、イチゴ品種「桃薫」を中心に、農研機構が最新技術を駆使して育成した先進的な野菜新品種について紹介しました。概要は以下の通りです。

イチゴ新品種「桃薫」には、フルーティーなモモやココナッツに似た香り、甘いカラメルのような香りの成分が多く含まれ、甘みはやや控えめですが、今までのイチゴとはまったく違った風味が楽しめます。果実は種の落ち込みが少なく艶があり、淡黄橙色の優しい色合いです。フレッシュな果実を贈答用として、また、ケーキやデザートなど、業務用として、いろいろと利用されています。「桃薫」は、小規模ながら北海道から九州まで全国的に栽培されています。多くの観光農園(イチゴ狩り)にも導入されています。

メロン新品種「フェーリア」は、整枝・誘引作業時間を短縮し、摘果作業を軽減するなど、省力栽培が可能です。

ハクサイ新品種「あきめき」は、DNAマーカーを利用して効率的に育成した、根こぶ病と黄化病に強い品種です。全国生産の4分の1を占める大産地である茨城県を中心に普及が進んでいます。

ナス品種「あのみのり」は、単為結果性で、授粉やホルモン処理なしでも実が肥大するなど、楽に栽培ができます。外観は光沢に優れ、果肉は白く緻密です。種なし果実は食感が向上し、種子周辺の褐変が抑えられます。「あのみのり」は、全国的に栽培されており、周年入手できます。

ネギ新品種「ゆめわらべ」・「ふゆわらべ」は、一般のネギより白い部分が短く、買い物袋すっぽり収まるコンパクトサイズです。白い部分は辛味が少なく、緑葉も軟らかいです。「ゆめわらべ」(6月~11月)と「ふゆわらべ」(12月~2月)との組合せでコンパクトネギを長期供給します。

「だいこん中間母本農5号」は、だいこんおろし、たくあん漬などの加工品として長期保存した場合に、黄変しません。

おいしさいろいろ、魅力のイチゴ新品種

7粒で1日分のビタミンCが摂れる!  食味の良いイチゴ「おいCベリー」九州沖縄農業研究センター 水田作・園芸研究領域 上席研究員 曽根一純が「おいしさいろいろ、魅力のイチゴ新品種」と題して、農研機構で近年育成されたイチゴ品種(前講演でご紹介した「桃薫」以外)について紹介しました。概要は以下の通りです。

農研機構では、促成栽培から夏秋採り栽培まで多様なニーズに対応した先導的で特徴のあるイチゴ品種を取り揃えています。

「おいCベリー」は、ビタミンC含量が収穫期を通じて安定して高く、平均的な大きさの果実約7粒で1日分のビタミンCが摂取可能な、高い健康機能性が魅力の促成栽培用品種です。また、「さちのか」より糖度が高く、酸度は同程度、香りが強く、食味は良好です。「おいCベリー」は、現在、長崎県、佐賀県、岡山県等で小規模な営利栽培を実施しています。民間種苗会社等から苗の購入が可能です。

「おおきみ」は、平均果重が20g以上の極大果で、2L以上の大玉比率が高いです。また、硬度が高く、日持ち性に優れます。さらに、「さちのか」より糖度が高く、香りが強く、食味は良好です。これらの特性を生かして、贈答向けあるいは直販向けに、新たな販売手段の提供・開拓をしています。

「なつあかり」は、夏秋採り栽培に適した四季成り性品種です。栽培適地は、夏期が冷涼な東北地方となります。従来の四季成り性品種にに比べ糖度、糖酸比が高く、食味が優れます。

「豊雪姫」は、露地・半促成栽培向け一季成り性品種です。栽培適地は、夏期が冷涼な東北地方で、収穫期は冬と夏の間となります。高い収量性が魅力で、6月下旬から7月にかけての収穫後半でも小玉化しにくいのが特徴です。炭疽病に抵抗性を有しています。

促成栽培向け品種、夏秋季取りに適した四季成り性品種、露地・半促成栽培向け一季成り性品種により、一年を通じてイチゴを提供できるようになることが期待されます。

 

農研機構では、今後とも皆様との連携強化を目指し、様々なテーマでセミナーを開催して参ります。

農研機構では、新たなアグリビジネス創出を目指している産業界、農業関係者などの方々からネットワーク会員を募集しております。会員の皆様には、農研機構のセミナーやイベント等の開催案内、最新の研究成果(新品種・新技術等の知的財産)や最新の話題をメールマガジンでお届けしています。入会費や年会費はありません。どうぞ、これを機会に「農研機構 産学官連携ネットワーク」にご加入ください。

法人番号 7050005005207