プレスリリース
簡単かつ高度な農産物生産工程管理を実現するウェブアプリ「apras(アプラス)」の開発

情報公開日:2014年1月 9日 (木曜日)

ポイント

  • 「apras」は、農薬の使用や施肥などの農産物の生産工程の記録や管理を簡単かつ高度に行うことのできるウェブアプリです。
  • 手書き、パソコン、スマートフォンなど多様な入力方式が可能です。
  • 北海道内における長年の実証試験に基づき、開発されました。

概要

農研機構と北海道日興通信株式会社は、農産物生産工程管理のためのウェブアプリ「apras(アプラス)」を開発しました。
「apras」は、先進のICT(情報通信技術)を利用して農産物の生産工程の記録、閲覧、検査を簡単かつ高度に行う機能を提供します。また、農薬の使用適否判定、特別栽培基準の検査などが全作物を対象に行うことができるなど、安全な農産物生産に必要な様々な機能を備え、生産者をサポートしています。
データの入力は、パソコンや最新のスマートフォンに加え、Fax送信された手書き帳票をOCR(光学式文字読取装置)で電子化する機能を備えているため、IT機器の得手不得手に関わらず、多くの人が簡単に使用することができます。
「apras」は、平成17年度より開始した北海道内の8つのJAで実証試験を経て開発されました。今後、北海道内での更なる普及、また、道外への展開を予定しています。

プログラム登録:P第10312号-1
(平成25年11月6日、一般財団法人ソフトウェア情報センターに登録)
予算:運営費交付金

本資料は、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、道政記者クラブ、札幌市政記者クラブ、筑波研究学園都市記者会に配布しています。

※農研機構(のうけんきこう)は、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネーム(通称)です。新聞、TV等の報道でも当機構の名称としては「農研機構」のご使用をお願い申し上げます。


詳細情報

開発の背景と経緯

平成14年に発生した“無登録農薬の誤使用”は大きな社会問題となり、食の安心、安全への関心が急速に高まりました。それを受けて農薬取締法が改正されるなどしたことから、農業現場において農産物の生産工程をいっそう厳格に管理することが求められるようになりました。その頃から、JA等の生産者団体において農産物の生産履歴の記帳と提出を求める動きが起こり、現在では多くの生産者団体において生産履歴の管理が行われています。
農産物の生産工程に関わる情報は多岐にわたり、また、作物の種類、時期等によってそれぞれ異なる管理が求められるため、それらの管理業務は農業現場における大きな負担となっていました。そこで、ICT(情報通信技術)を活用し情報を電子化することで、これらの情報を簡単・便利に管理ができるウェブアプリ「apras」を開発しました。

本アプリの内容・意義

「apras」は、JA等の生産者団体において農産物の生産工程管理を行うためのシステムです。本アプリは、インターネットに接続できる環境であればどこからでも使用することができます。「apras」に必要なプログラムは、すべて専用サーバで運用管理されているため、ユーザは特に新しいプログラム等を導入したりする必要はありません。また、「apras」に蓄積される情報も同じく専用サーバによって集中管理されているため、ユーザ自身によるデータの管理やバックアップといった作業もいりません。
「apras」は、パソコンのウェブブラウザを用いることで情報の入力、閲覧等ができます。また、スマートフォン用のメニューを使うことで圃場など外出先でも「apras」を利用することができます。IT機器に不慣れなユーザは、専用の手書き帳票を用いることができます。手書き帳票に書かれた情報は、「apras」用のOCR(光学式文字読取装置)ソフトで電子化することができます。入力された情報は、即座に農薬使用適否の検査、肥料成分ごとの投入量の集計等が行われるので、厳格な生産工程の管理が可能となります。

本アプリの利用方法

本アプリは、平成25年度をもって実証試験を完了し、平成26年4月より本運用を開始します。今後の利用を検討されるときは、北海道農業研究センター研究担当者へお問い合わせください。

今後の予定・期待

「apras」は、これまでの実証試験を通じてすでに多くの情報を蓄積しています。現在、蓄積された生産工程に関する情報と生産物の収量や品質との関連を解析する研究を行っています。今後、蓄積された情報の解析が、将来の営農改善に役に立つことが期待できます。
「apras」は、クラウド型のウェブアプリなので多くの情報機器との連携ができます。現在、農業機械のロボット化に関する研究を進めており、「apras」と農業機械との連携動作する手法を研究中です。将来的には、農業機械を用いた生産工程情報の自動生成や、逆に、蓄積された生産工程情報に基づく農業機械の制御といったことができるようになることが期待できます。