プレスリリース
(研究成果) 高能率軟弱野菜調製機を開発

- 誰でも簡単にホウレンソウの調製作業ができます -

情報公開日:2017年10月17日 (火曜日)

ポイント

  • ホウレンソウを一株ずつコンベア上に静置するだけで、根切り及び子葉※1
    下葉※2の除去が精度良くできます
  • このため、従来機に比較して仕上げ作業にかかる時間を削減できます
  • 1台あたり2人での作業が可能で、調製作業の省力化にも期待できます

概要

農研機構では、株式会社クボタ、株式会社斎藤農機製作所と共同で高能率軟弱野菜調製機を開発しています。

開発機は、ホウレンソウを1株ずつ供給すると、根切り及び子葉、下葉の除去の調製作業を行うもので、既存機より30~50%高能率に作業できることを目標としています。

平成29年11月8日に岐阜県高山市で現地検討会を開催し、生産者や関係する皆さまと意見交換の場を持つこととしています。平成30年度以降の実用化を目指しています。
開発機での作業の様子
開発機での作業の様子

関連情報

予算 : 農業機械等緊急開発事業、運営費交付金
特許 : 特許出願済

詳細情報

背景と経緯

一般的に、軟弱な葉菜類では面積あたり労働時間に占める、調製・出荷作業の割合が高く、生産者の労働負担が大きいため、規模拡大の妨げになっています。なかでもホウレンソウの調製作業では、出荷基準に合わせた、根切り及び子葉、下葉の除去等を行い、見映えの良い商品を提供していますが、調製・出荷作業に要する時間の割合はこれまで全作業時間の6割近くを占めてきました。

農研機構では、平成27年度から、緊プロ事業として、株式会社クボタ、株式会社斎藤農機製作所と共同で、作業者がホウレンソウ等の軟弱野菜を1株ずつ供給するだけで一連の調製作業が行え、既存の調製機に比べて手直しによる調製時間を短縮できる高能率調製機の開発に着手しました。平成29年度は、岩手県、岐阜県、群馬県の協力を得て現地実証試験を実施し、実用化に向けた課題の抽出と改良を行ってきました。

内容

  • 開発機は、ホウレンソウを一株ずつ供給ベルト(供給部)上に静置すると、根切り刃、ブラシ、高速回転ブレードからなる調製部で根切り及び子葉、下葉の除去を行い、搬出ベルト(搬出部)により仕上げ作業者(以下、仕上げ者)に届く構造です。(写真1表1)。概ね、草丈20cmから45cmまでの株の調製が可能です。
  • 供給部の高速化、調製部の根切り精度向上などにより、根の長さをはさみで再度切断して揃えたり、除去できなかった子葉を手で除去するなどの仕上げ調製にかかる時間を削減しました。根切り性能に関しては、現行機では切断後の長さが約10mm(標準偏差※3 3.0)であったのに対し、開発機では約6mm(標準偏差1.5)と、精度良く切りそろえることができます。子葉、下葉除去についても、精度良く調製できることを確認しました(写真2)。
  • 既存のホウレンソウ調製機では供給者2名と仕上げ者2名、あるいは供給者1名と仕上げ者3名(計4名)での作業を前提としましたが、開発機は、供給者1名と仕上げ者1名(計2名)でも調製作業が可能です。試験では、従来機での作業(供給者1名と仕上げ者3名、約570株/人h)に対し、開発機(供給者1名、仕上げ者1名作業)では、最大約1.5倍(約900株/人h)の作業能率となりました。

今後の予定・期待

開発機は、現場での利用試験等を通し、利用場面の確認、改良点の抽出などを行った上で、平成30年度以降の実用化を目指しています。

実用化に向けて、平成29年11月8日に岐阜県高山市にて現地検討会を開催します。
詳しくは、農研機構及び新農業機械実用化促進株式会社(新農機)のウェブサイトの開催案内をご覧ください。

用語の解説

※1 子葉:発芽して最初の2枚の葉のことです。貝割れ葉とも呼びます。

※2 下葉:子葉の次に出る4枚の葉で、2枚は除去します。丸葉とも呼びます。

※3 標準偏差:バラツキの程度を示す数値で、小さいほどバラツキが少なくなります。

参考図

軟弱野菜調製機_002.png

軟弱野菜調製機_003.png軟弱野菜調製機_004.png

法人番号 7050005005207