プレスリリース
(研究成果) 野菜用の高速局所施肥機を開発

- 高速で高精度な畝立て(うねたて)同時二段局所施肥ができます -

情報公開日:2018年3月20日 (火曜日)

ポイント

  • 傾斜地でも高精度に肥料の操出しができます
  • 台形状の畝を成形し、畝内の上層と下層の二段に局所施肥します
  • 作業速度は1.4m/s(5.0km/h)まで可能で、従来機に比較して約2割の作業能率の
    向上が期待できます
  • 肥料詰まりセンサにより、肥料の撒き損じを防ぎます

概要

農研機構と上田農機株式会社、株式会社タイショーは共同で、主にキャベツを対象に、畝立てと同時に肥料を畝内の上層と下層の二段に局所施肥できる野菜用高速局所施肥機を開発しました。

開発機は、車速に連動して高速・高精度に肥料を操り出せると同時に、作物の生育に効果的な位置に局所施肥を行うことができます。

今後、耐久性など量産化に向けた検討を行い、平成30年度に市販化する予定です。

001.jpg

野菜用高速局所施肥機(条間45cm仕様)

関連情報

予算 : 農業機械等緊急開発事業、運営費交付金
特許 : 特許出願済

詳細情報

背景と経緯

キャベツの生産地で一般的に普及している、接地輪により施肥ロールの回転を制御する畝立て同時局所施肥機は、土壌条件やほ場の傾斜の影響により接地輪の回転にムラが生じて施肥量のバラつきが生じやすく、また、作物の初期生育の確保を目的として畝上面に散布される肥料が風雨により流れてしまう等の問題を抱えていました。

そこで農研機構では、農業機械等緊急開発事業(緊プロ事業)において、上田農機株式会社、株式会社タイショーと共同で、傾斜のあるほ場でも車速に連動した精度の高い施肥を行い、キャベツの生育に効果的な局所施肥を畝内二段の位置に行うことで肥料の流出を防ぎ、環境負荷を低減する野菜用の高速局所施肥機を開発しました。

内容

  • 本機は3条用の作業機で、条間45cm仕様と、条間60cm仕様があります(写真1、表1)。本機を利用する前には、ロータリ耕うんを行う必要があります。
  • GNSSセンサ1)で車速を取得するとともに、傾斜角度センサでほ場の傾斜を計測し、その情報を基に施肥コントローラで肥料操出用のモータの回転数を制御します。
  • リッジャ2)で作溝した溝底へ下層の局所施肥を行い、土を寄せながら上層への局所施肥(約3~8cm、セル苗/地床苗により深さを変更)を行います(写真2)。条間45cm仕様の畝形状は、天面幅、裾幅、畝高さがそれぞれ約15cm、35cm、13cm、条間60cm仕様では、それぞれ約30cm、50cm、15cmの台形状となります。なお、上層施肥は初期生育用、下層施肥は中・後期用で、上層の施肥量は総施肥量の1割程度です。
  • 平均傾斜角度7°のほ場において、作業速度0.7~1.4m/sの範囲で傾斜の上下方向に作業を行った場合、設定繰出量に対する平均誤差が、上層で0.1~1.6%、下層で0.4~2.8%であり、従来機の平均誤差5%と比較して、高速でも高い精度で肥料の操出しが行えることを確認しました(表2)。
  • 条間45cm仕様において、慣行機の速度が1.0m/s、開発機の速度が1.4m/sの場合、作業距離が150mの時で作業能率は約2割向上します。
  • 施肥用のホースに肥料詰まりセンサ(写真3)を設けることで、ホース内の肥料詰まりによる「撒き損じ」を防ぐごとができます。

今後の予定・期待

開発機は、高精度に畝内の二段に局所施肥を行うことから、慣行機と比較して施肥量の削減が期待できます。ただし、施肥量の削減を行う場合、普及指導部局と相談の上で取り組むことが推奨されます。

また、平成30年度に市販化する予定です。なお、今後は、キャベツ以外の葉茎菜類への適用性について検討する予定です。

用語の解説

※1 GNSSセンサ:衛星測位システムの総称(よく知られているGPSは米軍が開発したGNSSの一種)

※2 リッジャ:畝を立てるように土を寄せる機能を持った作業機(写真では見えない)

※3 鎮圧ローラ:リッジャで作った畝の表面を回転しながら締め固める円筒状のもの

参考図

002.jpg
003.jpg
004.jpg
005.jpg
006.jpg

法人番号 7050005005207