プレスリリース
(お知らせ) 農業機械技術クラスターの実施課題がスタート

- 地域農業の機械化支援を中心に9課題を開始します -

情報公開日:2018年10月19日 (金曜日)

ポイント

  • 本年4月に新設した農業機械技術クラスターの実施課題がスタートしました。
  • 地域農業の機械化を支援する課題を中心に、9件の研究課題を実施します。
  • 引き続き現場からの要望を受け付け、課題化に向けた検討を進めてまいります。

概要

  農研機構農業技術革新工学研究センターでは、本年4月より、「ロボット技術や人工知能(AI)、ICT等を活用した革新的な作物栽培・畜産支援システム、地域作物の収穫自動化等次世代の地域農業を支えるコア技術」、「耐久性向上等による低コスト化」、「農業機械の安全性検査を含めた農作業安全及び仕様・規格の標準化」に係る研究及び関連業務に重点化すべく組織体制を刷新いたしました。

  また、研究推進に当たっては、行政、異分野を含む民間企業、生産者や指導機関の意見を反映しうる仕組みとして「農業機械技術クラスター」(以下、技術クラスター)を新たに設立し、関係機関との連携をこれまで以上に密にして業務を遂行する体制を整えました。

  なお、技術クラスターで扱う研究課題は、①地域農業機械化支援タイプ(地域固有の農業機械開発に対応するための共同研究)、②革新コア技術実用化タイプ(野菜・果樹等民間における開発を一層加速化するための革新的な実用化技術の共同研究)、③次世代革新基盤技術タイプ(次世代の革新的な機械・装置の萌芽となる基本・基盤技術の共同研究)の3つに分類して実施いたします。

  この度、技術クラスターが実施する課題を検討した結果、研究課題として9件(うち4課題は前年度からの継続)を選定、開始いたしましたのでご報告します。

  なお、技術クラスターでは引き続き現場からの要望を受け付け、課題化に向けた検討を進めることとしております。

研究課題一覧

  • (1) 二毛作体系に適した水稲乾田直播技術の開発
    (研究期間:2018~2020年度、地域農業機械化支援タイプ(土地利用型))
    [目的] 振動しながら土壌を鎮圧する高速鎮圧機、畝立て機構と播種機構を備えた畝立て乾田直播機を開発し、農業就業人口の急激な減少に伴う規模拡大と生産コストの低減のために、二毛作体系に適する水稲乾田直播技術を開発する。

  • (2) 高速高精度汎用播種機の現地実証
    (研究期間:2018~2019年度、地域農業機械化支援タイプ(土地利用型))
    [目的] 農業機械等緊急開発事業(以下、緊プロ事業)で開発した高速高精度汎用播種機を用いて、各地の現地実証ほ場において、稲、麦、大豆、牧草、飼料用麦類を対象とした播種試験を行い、作業能率、取扱性、耐久性、出芽率、収量等を調査し、開発機の適応性を明らかにする。

  • (3) 大豆用高速畝立て播種機の現地実証と高度利用
    (研究期間:2017~2019年度、地域農業機械化支援タイプ(土地利用型))
    [目的] 緊プロ事業で開発した大豆用高速畝立て播種機の中耕除草同時薬剤散布等の高度利用と他作物への利用拡大を図るとともに、大豆生産者ほ場において同機を利用した栽培体系の実証試験を行い、導入利用の効果を明らかにする。

  • (4) 高機動畦畔草刈機の適応性拡大に関する研究
    (研究期間:2017~2018年度、地域農業機械化支援タイプ(土地利用型))
    [目的] 緊プロ事業で開発した高機動畦畔草刈機を用いて、複数箇所の現地試験に供試し、新たな草刈作業体系の確立に向けて、多種多様な条件を有する畦畔や傾斜法面への適応性拡大を図る。

  • (5) 野菜用の高速局所施肥機の現地実証と高度利用
    (研究期間:2018~2019年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
    [目的] 緊プロ事業で開発した野菜用高速局所施肥機を用いて、キャベツ以外の葉茎菜類での適用性を検討し、課題の抽出と改良を行う。

  • (6) セル苗を利用したホウレンソウ移植栽培体系技術の開発  -ホウレンソウ全自動移植機-
    (研究期間:2018~2020年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
    [目的] ほ場回転率の向上により収穫量が増加し、所得向上が期待できるセル苗を利用したホウレンソウ移植栽培体系の確立及び展開を図るため、ホウレンソウのセル苗を複数条同時に植え付ける歩行型の全自動移植機を開発する。

  • (7) ニンニク調製の軽労化装置の開発  -ニンニク根スリ機-
    (研究期間:2017~2019年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
    [目的] ニンニク盤茎部分の根スリや出荷調製作業について、安全かつ熟練を必要としない、軽労化の手助けとなる装置を開発する。

  • (8) 野菜畑における多年生雑草の物理的防除技術の開発
    (研究期間:2017~2019年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
    [目的] 休耕期間を設けることなく、多年生雑草(ハマスゲ)の塊茎などの栄養繁殖体を収集し、効率的にほ場外へ搬出できる物理的防除技術を開発する。

  • (9) 栽培管理用AI ロボットの研究開発
    (研究期間:2018~2022年度、次世代革新基盤技術タイプ(土地利用型))
    [目的] 雑草等防除作業に係る労力の省力化や農薬等の使用量削減による環境負荷低減型技術の開発が求められている。そこで、除草作業や防虫害防除などの栽培管理を自動で行う栽培管理用AIロボットを研究開発する。