プレスリリース
(お知らせ・安全性検査) 農業機械の安全性検査制度を刷新します

- 検査基準の強化と段階評価の導入 -

情報公開日:2019年4月16日 (火曜日)

ポイント

  • 農業機械の安全性検査において、現行の検査基準と並行して、対策を強化した新しい検査基準を制定し、併せて基準適合マークを刷新します。新しいマークでは、安全性の高さを星の数で表す段階評価を導入し、より安全性の高い機械の普及を促進します。また、電動式の農業機械を新しく検査対象機種に追加します。

概要

  農研機構農業技術革新工学研究センター(革新工学センター)は、今年度より農業機械の安全性検査制度を刷新します。

  革新工学センターでは、平成30年度より農作業の安全性確保のために、農業機械の安全性検査等を実施してまいりました。安全性検査で用いる現行の検査基準(平成30年度基準)は、平成29年度をもって廃止された型式検査及び安全鑑定で用いられた「安全装備の確認項目と安全鑑定基準及び解説」を準用したものです。制定から既に20年以上が経過しており、現在では関連するISO等の国際規格に準拠していない内容も一部含まれています。

  農作業死亡事故は減少傾向(平成29年農林水産省公表: 304件)にあるものの、依然として多く発生しています。JA共済連が保有する傷害・自動車共済の共済金支払いデータ(平成25年~28年)を基に試算した結果、傷害事故は約7万件発生しているとの報告もあり、これら死傷事故撲滅への対策は急務となっています。

  一方、農業機械・技術の海外展開を考えると、日本で実施している安全性検査制度を海外へも普及させていく、標準化戦略を推進していくことが重要です。例えば、安全性検査合格機(中古農機を含む)の輸出に際して、海外のユーザーにも通じ得る安全認証表示とする必要があります。

[平成31年度からの安全性検査制度の主な改正内容について]

  1. 平成31年度安全装備基準の導入
    現行の「平成30年度安全装備基準」は、平成31年5月からの平成31年度安全性検査制度において引き続き適用します。また、これとは別に電動式の農業機械も検査対象に加えるとともに、「危険源からの防護」として安全距離(ISO13854:2017、ISO13857:2008等)、転倒・追突、火気、飛散、電気装置、電気的手段等の内容を包括し、再編した「平成31年度安全装備基準」を新たに導入します。受検に際し、依頼者は「平成30年度安全装備基準」または「平成31年度安全装備基準」のどちらか一方を選択・申請し、基準適合した機械に対して、該当する年度基準を明記した新しい認証マークが付されます(図1)。

  2. 安全性段階評価の導入
    安全性検査を受検し、該当する年度基準に適合した機械に対して、一律に基本ランク「1」として評価して星1個を付与します。この他、機種ごとに要件として定めた安全度のより高い機能・装備を有したものはランク「2」と評価して星2個を付与します(図2)。

  3. ロボット・自動化農機検査の改正
    ロボット農機検査(使用者がほ場内やほ場周辺から監視しながら、無人でほ場内を自動運転させる農用トラクター(乗用型)に適用)の試験項目に「取扱試験」を導入し、適切に自動運転作業が可能であるか否かを確認します。また、自動化農機検査(ほ場内で使用する自動操舵機能を有し、運転者の乗車を必要とする機械)は、農用トラクター(乗用型)、田植機、コンバイン(自脱型)、コンバイン(普通型)の4機種に限定していましたが、今後はすべての乗用型農業機械を検査対象とします。

  

改正した検査制度の詳細につきましては、革新工学センター安全検査部までお問い合わせください。また、平成31年4月22日に平成31年度農業機械安全性検査等説明会を開催いたします。説明会の詳細につきましては、下記ページを参照願います。

https://www.naro.affrc.go.jp/event/list/2019/04/130290.html

  

安全性検査を今後とも進化させるため、ご意見、ご要望をお寄せください。

平成31年度の農業機械安全性検査
図1 平成31年度の農業機械安全性検査
安全性に係る機能・装備の段階評価
図2 安全性に係る機能・装備の段階評価