育成のねらい
「アヤムラサキ」(平成7年育成)に含まれるアントシアニン色素は天然着色料として飲料や漬物等に年間160t程度利用されています(約9億円市場)。しかし、「アヤムラサキ」のいもは長くなりやすく、くびれや曲がりがあり、色素含量がばらつくなど問題がありました。そこで、「アヤムラサキ」よりアントシアニン色素含量が多く、いもの外観が優れた加工用品種を育成しました。
来歴の概要
平成8年に高アントシアニンで加工適性が高い「アヤムラサキ」を母、外観が優れるアントシアニン系統の「九系174」を父とする交配を行い、平成9年以降選抜・育成を行いました。平成15年から「九州148号」の系統名で関係機関に配付して、地域適応性並びに加工適性を検討してきました。
命名の由来
新しい色素用品種の時代の幕開けを意味します(暁紫)。
新品種の特徴
- アントシアニン色素含量(色価)はいずれの栽培条件でも「アヤムラサキ」より高い。
- いもの曲がりやくびれ等がなく、外観は「アヤムラサキ」より優れます。
- サツマイモネコブセンチュウ及びミナミネグサレセンチュウに抵抗性があります。
- 上いも重は「アヤムラサキ」並で、「コガネセンガン」より低い。
- 貯蔵性は「やや易」で、「アヤムラサキ」より若干劣ります。
- 生食用には不向きですが、お菓子等の加工用に利用できます。
今後の展開(普及の見通し)
宮崎県で色素原料用として普及(30ha程度の見込み)。
写真1.地上部
写真2.地下部