ポイント
農研機構動物衛生研究部門は、国内で26年ぶりに岐阜県で発生した豚コレラ(1発生農場の飼養豚から分離されたウイルスを用いて感染試験を行いました。その結果、当該ウイルスは豚に発熱や白血球減少を引き起こすものの、強毒株と比べ、病原性は低いことがわかりました。また、同居豚にも伝播することがわかりました。ウイルスは分泌・排泄物中に感染後最低2週間は排泄され、抗体はウイルス接種あるいは同居後2週間以降に検出されることがわかりました。
概要
2018年9月に岐阜県で発生した豚コレラの原因ウイルスを分離しました。当該ウイルス株を用いて豚への感染試験を行い、強毒株との比較からその特徴を明らかにしました。
筋肉内接種試験において、強毒株接種豚では接種5日後には下痢、起立困難、神経症状を示し瀕死状態に陥りましたが、2018年分離株接種豚は接種15日後(試験終了日)まで生残しました。しかしながら、2018年分離株接種豚も、強毒株接種豚と同様に、40℃を超える発熱および白血球減少(10,000個/μL以下)を示しました。2018年分離株の経口接種豚においても同様に、40℃を超える発熱および白血球減少(10,000個/μL以下)を示しましたが、接種14日後(試験終了日)まで生残しました。
2018年分離株接種豚と同房で飼育した同居豚も感染し、40℃を超える発熱、白血球減少(10,000個/μL以下)の臨床症状を示しました。また、2018年分離株のウイルス遺伝子は、接種豚および同居豚の唾液、鼻汁および糞便から感染後最低2週間検出されました。血中の抗体は2週間以降に検出されることが明らかとなりました。
本試験において、2018年分離株は豚に臨床症状を引き起こすものの、その病原性は強毒株よりも低いことが確認されました。
【関連情報】予算:交付金(理事長裁量型)