プレスリリース
セミナー「アミノ酸添加低タンパク質飼料給与技術による畜産の環境負荷低減とクレジット制度の利用によるその普及」を開催

情報公開日:2013年9月 3日 (火曜日)

農研機構畜産草地研究所
味の素アニマル・ニュートリション・グループ株式会社
住友化学株式会社

ポイント

  • 10月2日(水曜日)にティアラこうとう(江東公会堂)において、アミノ酸添加低タンパク質飼料の肥育豚をはじめとする畜産生産への技術導入がもたらす地球温暖化抑制効果を紹介するためのセミナーを開催します。

概要

農業活動に起因する温室効果ガスの発生は膨大で、FAO(2009)の年次報告書でも増大する世界人口を賄う生産拡大と次世代への温暖化現象の脅威解消が急務とされており、世界の食料を賄う低炭素型生産技術の開発と普及が強く求められております。

農研機構畜産草地研究所、味の素アニマル・ニュートリション・グループ(株)及び住友化学(株)は、共同研究によりアミノ酸添加低タンパク質飼料の肥育豚生産への技術導入がもたらす地球温暖化抑制効果を明らかにしました。セミナーでは、この研究成果を紹介するとともに、技術の導入支援のためのJ-クレジット1)の解説やJ-クレジットを導入した生産農家の取り組みを紹介いたします。

アミノ酸添加低タンパク質飼料の導入により、生産性に影響することなく窒素排せつ量を29%削減、排せつ物管理から発生する温室効果ガスを39%削減でき、LCA2)による評価では温室効果ガスの削減に加え、周辺水系の富栄養化への影響が削減されたことから、共同研究の成果は生産拡大が顕著な東南アジアへの普及技術としても期待されます。

報道機関各位におかれましては、事前にセミナーの開催を紙面で広くご案内いただきますとともに、当日は是非取材にお越しいただき、本技術の温暖化抑制効果を紙面、番組等でご紹介いただければ幸いです。


詳細情報

用語の解説

1) J-クレジット
省エネルギー機器の導入によるCO2削減あるいは家畜排せつ物管理からのN2O削減などの取組による、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度(クレジットとは債権という意味)。2013年5月より国内クレジット制度3)とオフセット・クレジット(J-VER)制度4)が発展的に統合した制度で、国により運営されている。創出されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセット5)など、様々な用途に活用できる。

2) LCA (ライフサイクルアセスメント)
原料取得から部品および資材の製造・生産・使用・廃棄まで生産物・サービスの一生すなわちライフサイクルを通して、使用される資源および排出される環境負荷物質を調べて環境への影響を評価する手法。複数の環境影響をライフサイクルを通して調べることで、他のプロセスあるいは他の環境影響項目とのトレードオフになっていないかを考慮して評価することが可能である。

3) 国内クレジット制度
国内クレジット制度は、平成20年10月に政府全体の取組みとして開始された、大企業等による技術・資金等の提供を通じて、中小企業等が行った温室効果ガス排出削減量を認証し、自主行動計画や試行排出量取引スキームの目標達成等のために活用できる制度。現在、「豚への低タンパク配合飼料の給餌」を含め、52件の排出削減方法論が承認されている。http://jcdm.jp/index.html

4) オフセット・クレジット(J-VER)制度
カーボン・オフセットの取組を広めるためには、カーボン・オフセットの取組について信頼性を構築する必要があるため平成20年11月に制度が立ち上げられた環境省が設置した認証運営委員会で基準を定めて認証する制度。環境省の「カーボン・オフセットに用いられるVER(Verified Emission Reduction)の認証基準に関する検討会」により発行・認定するオフセット・クレジット制度のこと。クレジットとは債権という意味。本制度にて促進支援すべき排出削減・吸収プロジェクトの種類を予め特定し、現在31の方法論がポジティブリストとして公表されている。(2011/12現在) http://www.4cj.org/jver/

5) カーボン・オフセット
人間の経済活動や生活などを通じて排出されたCO2などの温室効果ガスのうち削減が困難な量の全部または一部を、植林・森林保護など他の事業によって直接的、間接的に吸収し埋め合わせ(オフセット)ようとする考え方や活動の総称。