プレスリリース
リアルタイム気象情報を利用したため池の危険度評価システム

情報公開日:2003年3月 5日 (水曜日)

要約

全国に10万カ所あるかんがい用のため池は、集中豪雨や地震などによって災害を発生することがあります。農業工学研究所は、全国のため池情報と気象庁から提供される気象情報を統合した「ため池防災データベース」を開発しました。

本データベースは、ため池の危険度をリアルタイムで提供するもので、ため池の管理機関を通じて、地域の防災に貢献するものと期待されます。

背景・ねらい

かんがい用のため池は全国に約10万ヵ所あるが、老朽化のために改修の必要なため池は現在でも約2万ヵ所あるといわれていて、毎年改修が続けられています。近年の集中豪雨や地震によって災害を受ける事もあり、このような災害の発生を事前に予測できれば、下流への被害を最小限にとどめることが出来ます。

成果の概要

  • 豪雨、地震時におけるため池の危険度予測の考え方を図-1 に示しました。 気象庁からのアメダス、レーダアメダス、地震情報等をリアルタイムで取得して、研究所の気象情報サーバに収納して、インターネットを経由してため池管理機関等にリアルタイム気象情報及び危険度の評価を提供するものです(図-2)。
  • 全国の県に配置されている「ため池防災データベース」に常時接続のインターネット環境が整っていれば、データベース上にリアルタイム気象情報(現在までのデータ及び6時間後までの予測降雨情報、注意報、震度情報等)を表示、ため池の危険度評価が可能なシステムを開発しました。
  • 新たなソフト、機器、施設を必要とせずに、いつでもため池の危険度評価が可能なシステムですが、ため池に災害が発生する降雨条件(時間雨量、連続雨量)は地方毎に異なっているために、ため池災害と降雨条件の関係をそれぞれの地方毎に検討する必要があります。

図-1 豪雨、地震によるため池危険度予測の考えかた
図-1 豪雨、地震によるため池危険度予測の考えかた

図-2 リアルタイム気象情報を利用したため池の危険度評価システムの概要
図-2 リアルタイム気象情報を利用したため池の危険度評価システムの概要


詳細情報

用語解説

ため池
かんがい用の小規模ダムで、全国に約10万ヵ所あり、その大部分は100年以上前に築造されている。

リアルタイム気象情報
気象庁から専用回線を通じて、1時間ごとにアメダス情報、レーダアメダス現況雨量(5kmメッシュ)、及び6時間後までの予測雨量が有料で提供されている。専用回線を通じて提供されるため、一定の施設と受信ソフトが必要となる。

ため池防災データベース
平成11年度に全国のほとんどの県に整備されたGISデータベースで、約86,000個所のため池の情報が整備されている。本システムの開発には農業工学研究所が協力して開発した。