ポイント
- 土壌にセンサー部を挿入することで、深さ別の放射線を短時間で測定できます。
- 土壌中の深さ別の放射能分布を推定できます。
- 土壌の汚染状態を、深さ方向を含めて把握できるため、除染範囲の効率的な特定や、適切な除染対策手法の選定につながります。
概要
農研機構は、福島県土地改良事業団体連合会及び応用地質株式会社と共同で、土壌中の深さ別の放射能分布を現地において短時間で推定できる装置を開発しました。
放射性物質で汚染された土壌を除染する際、汚染の深さを把握することは、除染範囲を特定し、除染対策を効率的に実施する上で重要です。しかし、これまでは土壌中の深さ別の放射能分布を現地にて推定する手法がなく、土壌サンプルを実験室に持ち帰って測定する必要があったため、多くの時間と労力を要していました。
開発した装置は、長さ50cmのセンサー部に複数のガンマ線検出器を搭載しており、挿入した土壌中の放射線を2.5cmきざみで深さ別に測定することが可能です。更に、各検出器での測定値を解析することにより、深さ別の放射能分布を推定することも可能です。
本装置は、従来法と比較して測定作業を大幅に効率化できます。また、土壌の汚染された深さを現地で把握できるため、除染対策が必要となる範囲の効率的な特定が可能となり、適切な除染対策手法の選定につながります。
予算:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 運営費交付金
特許:特願2015-167993