共同研究の概要・経緯
日本の食料自給率は、主要先進国の中でも低い水準となっています。国内の食料自給力の向上を図るため、水田を有効活用した米粉、飼料米等の非主食用米の普及拡大に期待が寄せられています。
このような需要に応えるため、低コスト生産が可能な多収稲品種の育成が、各地域で進められています。東北地域中北部では、多収性に耐冷性、耐病性を付与する必要がありますが、現在の多収稲品種ではこれらの特性が不十分です。そこで、早急かつ効率的に稲品種の育成を進めるために、地方独立行政法人 青森県産業技術センター、岩手県農業研究センター、農研機構 東北農業研究センターは、3機関共同で多収稲品種の育成に取り組むことにしました。
多収稲品種育成の現状と展望
現在、東北地域中北部向けの多収稲品種として「べこごのみ」、「ふくひびき」が育成され、普及していますが耐冷性が不十分です。最近、耐冷性が強い「みなゆたか」、「つぶゆたか」、「つぶみのり」が育成されましたが、さらなる多収品種が望まれます。またこれらの品種には、主食用米との識別性がありません。
本共同研究の中では、東北地域中北部に適する反収900kg以上の高収量性で、耐冷性、耐病性が強く、主食用米との識別性がある多収稲品種の育成を目指します
用語の説明
食料自給力
食料の安定確保を目指す食料供給力のこと。食料自給力を強化するためには、農地と担い手の確保、農業技術水準の向上等が重要。
非主食用米
主食用米ではない米のこと。米粉用、飼料用、バイオ燃料用の米、ホールクロップサイレージ用稲等が該当。
識別性
主食用米と識別するために、非主食用米に付与させた玄米の特性。大粒、長粒等。