プレスリリース
青森産技セ、岩手県、農研機構東北農研が 多収稲品種の育成に関する共同研究契約を締結

情報公開日:2009年11月24日 (火曜日)

ポイント

  • 東北の農業試験研究の3機関が、稲品種育成の共通課題に取り組むことで合意。
  • 東北地域中北部向けの多収性、耐冷性、耐病性等を付与した非主食用の多収稲品種を共同で育成。

概要

東北地域中北部での栽培に適した多収稲品種には、多収性に耐冷性、耐病性等を付与する必要があるが、現在の品種ではこれらの特性がまだ十分ではないことから、東北地域中北部向けの多収稲品種を効率的に育成することを目的として、地方独立行政法人 青森県産業技術センター【理事長 唐澤 英年】、岩手県【知事 達増 拓也】、農研機構 東北農業研究センター【所長 岡 三德】の3機関が連携・協力して、米粉、飼料米等の普及拡大のため、地域に適した非主食用の多収稲品種の開発に取り組むことに合意し、平成21年11月4日に共同研究契約を締結しました。


詳細情報

共同研究の概要・経緯

日本の食料自給率は、主要先進国の中でも低い水準となっています。国内の食料自給力の向上を図るため、水田を有効活用した米粉、飼料米等の非主食用米の普及拡大に期待が寄せられています。

このような需要に応えるため、低コスト生産が可能な多収稲品種の育成が、各地域で進められています。東北地域中北部では、多収性に耐冷性、耐病性を付与する必要がありますが、現在の多収稲品種ではこれらの特性が不十分です。そこで、早急かつ効率的に稲品種の育成を進めるために、地方独立行政法人 青森県産業技術センター、岩手県農業研究センター、農研機構 東北農業研究センターは、3機関共同で多収稲品種の育成に取り組むことにしました。

多収稲品種育成の現状と展望

現在、東北地域中北部向けの多収稲品種として「べこごのみ」、「ふくひびき」が育成され、普及していますが耐冷性が不十分です。最近、耐冷性が強い「みなゆたか」、「つぶゆたか」、「つぶみのり」が育成されましたが、さらなる多収品種が望まれます。またこれらの品種には、主食用米との識別性がありません。

本共同研究の中では、東北地域中北部に適する反収900kg以上の高収量性で、耐冷性、耐病性が強く、主食用米との識別性がある多収稲品種の育成を目指します

用語の説明

食料自給力
食料の安定確保を目指す食料供給力のこと。食料自給力を強化するためには、農地と担い手の確保、農業技術水準の向上等が重要。

非主食用米
主食用米ではない米のこと。米粉用、飼料用、バイオ燃料用の米、ホールクロップサイレージ用稲等が該当。

識別性
主食用米と識別するために、非主食用米に付与させた玄米の特性。大粒、長粒等。