プレスリリース
キャベツなど葉菜類の畝立て栽培における肥料や農薬の施用量を大幅に削減する施用技術

情報公開日:2004年10月 7日 (木曜日)

キャベツ・ハクサイ等の葉菜類の苗を移植する時に、畝(うね)立てと同時に肥料や農薬を移植位置近くの土壌と攪拌しながら帯条に施用する作業機を開発しました。これによって、圃場面積当たりの肥料施用量を慣行の1/2程度に、根こぶ病防除剤の施用量を慣行の1/3程度に、大幅に削減できます。現在、実用化に向けた現地試験を進めています。

背景・ねらい

ハクサイ・キャベツ等の土地利用型野菜の生産では、生産コストや環境負荷の低減が課題となっています。そこで、畝立てと同時に化学肥料や農薬を施用する、省力、かつ低コストで、肥料や農薬の使用量を削減できる技術の開発を図ります。

成果の内容と特徴

畝立て機の耕うん軸に複数の円盤を付け、畝立て機の上部に肥料・農薬ホッパを取り付けた畝立て同時条攪拌施用機(図1)を開発しました。本機は、乗用管理機やトラクタ用の作業機です。肥料・農薬ホッパから繰り出された肥料や農薬は、耕うん軸に取り付けた2枚の円盤の間に落ち、回転する爪で円盤間の土壌と混合攪拌され、その後、成形板で周囲の土壌に包まれるようにして畝立て・成形されます。

  • 本機を用いることで、定植位置となる畝の上部中央部近辺だけに肥料や農薬を混合施用することができます(図2)。施用の幅は円盤の間隔を変えることで、施用する深さは円盤間に取り付ける耕うん爪の長さを変えることで、自由に変えることができます。
  • キャベツやハクサイでは、定植前の畝立て時に、粒状化成肥料を畝中央の幅20cm×深さ20cmの範囲のみに畝内条攪拌施用すると、全面全層に施用した時の50%量で、結球重は全面全層に施用した時と同等になりました。これにより圃場面積当たりの施肥量をおよそ1/2に減らせることが確認できました(図3)。
  • 根こぶ病汚染圃場で、キャベツ定植前の畝立て時に、防除薬剤「フルスルファミド粉剤」を、土壌中の薬剤濃度を全面全層施薬と同じにして畝中央の幅20cm×深さ20cmの範囲のみに条攪拌施用すると、防除効果は全面全層施薬の場合と同等で、圃場面積当たりの薬剤施用量をおよそ1/3に減らせます(図4)。

成果の意義と今後の展開

本成果は、肥料についてはキャベツ・ハクサイ作に、根こぶ病防除剤「フルスルファミド粉剤」についてはキャベツ作に適用できます。また、施用量を大幅に削減できることからこれらの野菜の生産コストを低減することができると考えています。現在、この施用技術については、特許を出願しています。今後、実用化に向けメーカーとの協議を進めていきます。


詳細情報

参考データ

図1 開発した畝立て同時条撹拌施用機

図2 畝立て同時条撹拌施用機による肥料・農薬の撹拌混合状況

図3 化成肥料を畝内条撹拌施用した時の効果

参考資料

図5 慣行施用法と畝内帯条撹拌施用法