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「田植え」とイノベーション

「戦後日本のイノベーション100選」(注)の中に田植機があります。田植機は1960年代から本格的に実用化が始まりました。その後、人力駆動から動力駆動へ、歩行型から乗用型へと進化し、この過程で作業効率は飛躍的に向上しました。田植機の出現から20~30年で、重労働であった手植えは(農業体験、田植え体験などを除き)ほぼ姿を消し、ほとんどの水田で田植機が使われるようになりました。

田植機がイノベーションであれば、田植えをしない稲作もまたイノベーションです。機械化が進んだ今日でも、苗づくりと田植えは労力がかかる作業です。このため、田植えをせずに直接水田に種子を播く直播(ちょくは)技術が期待されています。農研機構も直播技術を開発しており、幾つかの技術は急速に普及が進んでいます。今回は、それらの中から2つを動画でご紹介します。

1. グレーンドリルを用いた水稲乾田直播 - 大規模水田輪作向き -

グレーンドリルによる播種作業

乾いた状態の大区画の水田に、グレーンドリルという畑作用の大型播種機を使って水稲の種子を播き、発芽・苗立ちの後に水田に水を入れます。労力のかかる育苗や田植えの必要がなく、大幅な省力化・低コスト化が可能です。播種機は麦、大豆栽培にも利用できるので、これらの作物との輪作経営に適します。

動画こちら

2. 鉄コーティング湛水直播 - 大規模でも小規模でも -

無人ヘリコプターによる播種作業

鉄粉でコーティングした種子を、代かきした水田に播種する技術です。さまざまな播種機を用いることができます。鉄粉で種子が重くなるので浮き苗が生じにくく、鳥の食害も少ないことが特長です。育苗・田植えがないので春の作業時間が削減されます。また、田植えを行う移植栽培との組み合わせで秋の収穫作業ピークを緩和できます。

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(注) 戦後日本のイノベーション100選:公益社団法人発明協会が平成26年6月15日に発表。

法人番号 7050005005207