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食事により「体内時計」を調節する

2017年のノーベル生理学・医学賞は、ショウジョウバエから「体内時計」の遺伝子を発見し、そのメカニズムを明らかにした米国の3科学者が受賞しました(授賞式12月10日)。

農研機構にも、食品成分と体内時計との関係を研究している研究員がいます。食品研究部門の大池秀明主任研究員です。細胞や動物実験での成果ですが、食塩やコーヒーなど日常的に摂取する食品成分で体内時計が調節できること、朝食による体内時計のリセットに栄養バランスが重要であること、食事の時間の不規則さで肥満が誘発されることを示しました。これらの研究成果により、農林水産技術会議が選考する平成29年度(第13回)「若手農林水産研究者」として表彰されました。

大池主任研究員は、将来、さまざまな機能性成分と体内時計の関係を調べて、この機能性成分を含む食品は朝に食べると効果的とか、夜のほうが効果的のような、機能性の効果がより高く現れる食事のタイミングを明らかにし、人々の健康増進に貢献したいと考えており、体内時計と食事との関係を研究する「時間栄養科学研究会(平成26年設立)」の幹事としても活躍しています。

今回ノーベル賞を受賞された一人であるマイケル・ヤング氏が、8年前に来日しました。大池主任研究員は彼と直接会って、高食塩食で体内時計が変化するという研究成果を話したところ、「おもしろい研究ですね。」とコメントをいただいたそうです。まだ、特定の食事成分が体内時計を変化させるという例が、世界でもほとんど報告がされてなかった頃でした。